我がまま
そうお願いしたもののふとした瞬間にやっぱり考えてしまう。…もう忘れよう。
「そういや考査近いですよね。」
「あ。全然勉強していない。」
こないだから全然勉強に集中が出来なかった。まあ自分が全て悪いんだろうなって。
「全くアホですか。まあ良いです。私が教えて差し上げましょうね。ということで終わったら私の家に来てください。」
唐突過ぎてよく分からない。いや展開が早すぎる。
「あ、いいのか。」
「はい喜んで。それかあれですか。今になって戻りたいんですか。」
「いや。……。」
思わず口にすべきかで迷って言葉が詰まった。迷っていたら日芳理さんが察してくれた。
「怖いんですよね琥珀さんの事。すいません名前出しましたけど。ただ私はどんな状況でも話を聞きますからね。困ったらお互い様です。」
日芳理さんが笑顔になって笑っていた。…あっなんか似てる。
「ごめん。まだ忘れきれてないんだ。…悪いね、こんな引きずり込んで。」
心の底から悪いと思った。こんなにもう終わった事をずっと引きずるなんて。
「大丈夫ですよ。すぐに忘れろと言うわけでないです。本当に少しずつで良いですよ。元はと言えば私の我がままを聞いてくださったのでそれだけで幸福です。ねえ大希…我がまま聞いてくれますか。」
なぜか呼び捨てされた。…何を話してのか分からない。
「………。」
「もう。鈍感ですね。私の事を好きに呼んでください。」
「日芳理……これで良いのか。」
僕は照れ臭く言った。
「はい。嬉しいです。…ずっとこんな事を夢見ていたので。あ行きますよ。早くしてください。私この講義単位危ういんですから」
そんな感じで孤独感が紛らわせていた。
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