紙一重

ハッタリ

私はまだ完全に忘れてはいないが、少しずつ色々と忘れて心の整理整頓をしようとしていた。…いつまでも考えるのを辞めよう。そんなことを考えて自宅を出る。しかしその気持ちも段々と薄れていく。やっぱり怖いんだそう悟る。あんなに言ってまあ嫌いにならない人はいない。…どう思っているのかな。考えなくないことを考えた。やっぱり怒りかな、憎しみなのかな……。どんどんマイナスの連鎖が繰り返され徐々に思い出してきてしまった。

「琥珀さんおはよう御座います。」

「あ、おはよう。……今日は一段と寒いね。」

私たちは普通に振る舞った。そう何事もなかった如く。こないだのことは忘れた。…あんなことでグダグダ言っても仕方がない。人間関係なんてそんなものだ。誰かを傷つけて傷つけられて…そしてどちらかが切っていく。

「さてと。謝らないといけない事があります…。…すみません私ハッタリを言いました。昨日の何ですけど。」

「ふーん。じゃあ頑張ってみたら。貴女を好きになるように。」

おそらく大希のことだろう。何でハッタリを言ったのか。

「そんなに…琥珀さんはそっけない人だったんですか。今でも気にしてますよね。」

「別に、ただ日芳理さんが色々と思い出させてくるんでしょう。」

「はあ何なんですか。お互いに嫌いになる別れるって。…飛んだ生き地獄みたいなものですね。普通はそれだから一緒にいるのではないのでしょうか。感情を分け合って。自己中ですね。」

少しカッとなった。

「勝手に言ってれば良いじゃない。それかあれなのまさかと思うけどね、大希が振り返ってくれないとか。」

「そんなの一ヶ月もあれば簡単に出来ますから。」

日芳理さんはそう言って先に行ってしまった。ただ私も物凄く疲れた。……なんか虚しさが一番あった。

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