何かの間違い

そんな淡い期待が叶うはずでもなく家に着いてしまった。

「さてと聞きますかね。」

日芳理さんの後ろに歩いている人がいた。…とても気まずい。これが夢であってくれ。

「ねえ大希。」

この聴き慣れた好きな声。…間違いないこれは修羅場じごくになる。

「ちょっと良いかしら日芳理さん最後に話しておきたいことがあるの。」

琥珀は落ち着いた声色でゆっくりと話す。

「良いですけど。やっぱり戻りたかったとかは言わないでください。私たち…。」

「もう良いよ。分かっているから。だからその先は言わないで。」

琥珀は悲しげに言った。罪悪感が今まで以上に襲いかかる。

「じゃあ積もる話があると思いますので私はこれで。」

そう言って日芳理さんは行ってしまう。…そして気まずい嫌いな空気になる。これが夢であってくれ。

「ねえ…とりあえず確認なんだけどさよならってことで良いのよね。この間。」

「ああ……そうだな。」

僕は認めたくは無かった。だって好きだから。でもあんな事を日芳理さんは言ってしまったので誤解を解こうとすると喧嘩になってしまう。しかし今の僕には何ができるか分からなかった。

「そうなの。…日芳理さんの方が良いんだね。ねえやっぱり嘘だったんだ。」

「いや違う今でも琥珀のことが好きなんだ。」

琥珀はまた真っ赤にして怒り始めた。

「ねえ大希…なにがしたいの。こんなにタラシみたいなことして楽しいの。あと何で呼んでるの私の名前。はあもう失望を通り過ぎて呆れた。…もう私の好きな大希はどこかいったようだね。どうぞお好きに。悪かったね。日芳理さんと楽しい時間を邪魔して。ただこれだけは言って良い。本当大っ嫌い。喧嘩していた時よりも。…私を疑うよりも自分の事を改めたら。何度でも言ってやるわ。嫌い。」

この日を境に琥珀は二度と話してこなかった。

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