一線
「今帰りなんだけどね。私見ちゃったんだ。日芳理さんと楽しそうに帰ってるところ。そんな事は良いとして。…ねえどうなの。さっきの公園での事は虚なの。そんなに私を困らせて楽しいの。」
琥珀は悲しげにそういう。
「…いや違う。……」
しかし、説明したところで理解してもらえるのか。
また喧嘩になってしまい本当に取り返しがつかないんじゃないか。
「何で黙ってるのよ。何とか言いなさいよ。」
琥珀は顔を真っ赤にして怒っていた。こんなに怒るのを見るのは初めてだ。
「………いやそんなことを思っていない。今でも琥珀を考えている。」
何とか言葉を出して。誤解を解こうとする。なぜならもうこんな事したくないから。
「ねえだったらさ、なんで一緒に帰っているの突き放せば良かったじゃない。…大希さ何なの。私が馬鹿みたいじゃない。…だってだって……。」
「今でも琥珀が好きだからこんなに否定してるんだよ。…少しは分かってくれよ。」
「口だけなら誰だって言えるよ。……行動が違うんだもん。…昨日から。…私さ今でも忘れなれいんだよ煌びやかな大希との過去。今でも好きなの。……だから断ったんだよ。それなのに。…そっか日芳理さんの方がいいんだ。」
「その件は本当に謝罪をしなければならない。ごめんなさい。でも、今でも戻りたいと思っている。」
少しの沈黙があった。このなんとも言えない空気が昔から嫌いだ。そして口を開いたのは琥珀だった。
「…ふーんそう。私嫌い。…もう馴れ馴れしく琥珀って呼ばないで。もう笑えないし分かり合えない。まあ、いいんじゃない日芳理さんがいるから。本当に嫌い…さようなら。…もう話に来ないで。」
そう言って一線を張っていった。もう話すことなど出来ないだろう。
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