琥珀と日芳理

失った生活

僕は重い足取りで岐路を辿る。貰った本を抱えて。本を見てしまうと余計に思い琥珀の事を思い出してしまう。琥珀…ごめん理解出来なくて。…もう戻れない。帰ったのはいいが思い出の本が目に止まってしまう。…うう今は見たくなかった。だからさふて寝をして1日を過ごした。こんなに琥珀を失いなくなかったのか…。後悔の念でなかなか寝れない。ちくしょうムシャクシャする。…あそこで間違ってなかったら。

翌日私は暗い気持ちで大学に行った。いつもなら琥珀と話すのだが、それはもうない事を悟り、友達と色々話した。しかし状況は一向に悪くなる。なぜなら視界には琥珀が目に写ってしまうから。…本当は謝罪したかったけどどうやって話しかけるか。もし拒絶されたらどうなるのか。まだ怒ってるのではないか。それが怖くて話せなかった。そんなこんな大学が終わり…結局は何一つ出来ていない。意気地なしの自分が嫌いだ。

やる事がないから講義が終わったらすぐに帰って行った。

「あ、どうもなんか元気ないですね。どうしましたか。」

そう話しかけたのは日芳理ひかりだった。

「…まあね。」

「なんかあったんですか…話したらどうですか。楽になりますよ。嫌ならいいですけど。」

「…あのこれ言ってさなんかなるのか。」

「はいなんならなんか奢るので、ちょうどなんか食べたいななんて思ったので。行きましょう。」

言われるがままに店についてしまった。…友達だから良いよね。それに琥珀はもういないんだから。そう自分を正当化した。

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