戻りたい今日
公園のベンチには琥珀が座って待っていてくれた。
「あ、大希来てくれたんだ。ありがとう。」
「なんか勘違いしてごめんなさい。」
「…今日さ誕生日だからさ。…あの本を選んでいたんだけど…どんな本がいいか分からないからさ。参考に友達といたんだ。これどうぞ。」
読みたかったは本をくれた。…しかし読みたかったのに嬉しくはなかった。僕がこの空気を作ってしまった。嫌いな喧嘩しそうな空気。琥珀は怒っているだろう。それ故に会話はいつも以上に沈黙が続く。
「ねえ。話があるんだけどさ。私たち別れましょう。」
当然の報いだろう。分かっていだけど納得できない。
「本当に悪かった。…でもやり直し出来ないかな。そうすれば前みたいに戻れるからさ。ダメかな。」
「私もそうしたいけど…私も好きだよ。でもさ一緒にいてしまうと嫌いになってしまうの。それが嫌だから。…我がままって分かっていたけど…。ね。大希と喧嘩してまた仲直り出来るとは限らない、大きな溝が出来てしまう可能性だってあるじゃない。そして戻らない事もあるから。」
琥珀は泣いていた。こんなに泣かせる事になるなんて…ああ出来る方ならば今日をやり直したい。
「だからね。」
琥珀は笑みを作って。
「笑って大希。私大希の笑ってる顔好きだから。」
僕は無理矢理笑みを作った。…うまく出来ていただろうか。
「…さようなら。」
琥珀はそう言って帰って行った。
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