疑い

琥珀が来ないから本を読んでいた。…本当に静かな部屋だな。さてと本を読み終わったから暇になってしまった。

「…琥珀が暇って言ってたのも分かるな。」

そんな独り言を呟いた。そうだ…気に入っている作家の本が出版される日だ。本屋に行くんだった。

街に出てきた。さてと本屋に行こう。…その時だった。琥珀が誰かと一緒にいた。良く見てみると男の人だった。

「…まさかだよね。」

琥珀には悪いがそういう思考が巡る。いや、ただの友達かもしれない。そう思いたかったのも思えなくなってしまう事が起きた。それはニコニコして話していた。…僕には見せてくれないのになんで。ああそういう事か。怒りというか悲しみが優ってきた。

…こんな日に見たくはなかった。だから本屋に行くのを辞めて家に帰った。なんでなんだよ…琥珀なんで二股かけてんだよ。そう嘆いた時に琥珀から電話が来た。

「ねえ、大希今時間ある。」

「あるけど何…お前よこんな事やってるんじゃねえよ。…胸糞悪くないのかよ。」

「ねえ…もしかして今日街にいた。…あれはただの友達なの。なんか勘違いさせてごめんね。…ねえ公園に来てくれない。」

「悪かった、今行く。」

…凄く自分が間違っていた。…琥珀を信じてあげられなかった自分を叱った。

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