4.「大事なもの」を失ったような感じ―「尖り」と「ウケ」
今回(特に評価ランクの低い作品を見ていた時)感じた事がこれです。恐らくは前項と関係する事だとは思うのですが、どこか「大切なもの」を失ったような作品が多いなと感じました。
最初に書いた通り、今業界は余りいい話が多くありません。そのせいなのか、どうも「冒険する事」を恐れたような作品が多かったなというのが個人的な感想です。全てでは無いですし、高評価を出している作品の中にはそういった「大事なもの」をきちんともった作品は多かったです。ただ、以前は「シナリオ自体の評価」は低くても、こういった作品は余り見なかったような気がするのです(変な気合が入ってて滑った作品はみましたが)。
「大切なもの」というと曖昧ですが、世間一般で言われるフレーズで一番近いものは「尖り」です。良く「尖った作品は売れない」という良く分からない言説が流れていますが、そんな事は無いと思っています。寧ろ「尖りまくっている作品」こそが受けるはずなのです。作品が売れないことによって自信(あるいは余裕)を失い、「尖った作品」を出せなくなる。ただ、反応は恐らく余り芳しくないでしょう。そうなるとどうなるか。作る側はより「尖った作品」を出さなくなる。この負の連鎖が今起こっている事なのではないかと思うのです。
よく作品を「売れた」「売れない」で評価するのを見ます。もちろん、比較する作品の質が雲泥の差ならば、何度比較しても売れるのは良質な方でしょう。しかし、現実にはそんなに大きな差がある場合ばかりではありません。時には「こっちの方が良いのに」という場合もあるでしょう。
また、作品の「売れるかどうか」は何も質だけで決まるものではありません。極端な話「内容は微妙だけど売り方が完璧な作品」と「内容は完璧なのに売り方がヘッタクソな作品」では、前者の方が売れるというのは良くあることでしょう。「売れるかどうか」は重要なファクターではありますが、それは何も「作品の質」だけを表す指標ではないのです。
勿論、数字という意味ではPV数もまた同じでしょう。にも関わらず「数字が出ないから作品を訂正する」という動きをしているのは何とも残念だなという風に思いました。オリジナルアニメーションが「安定感」と「尖り」を両立し、ライトノベル大賞作品が確かに力を持っている原石であったが故に、余計にそう思います。「出版は厳しいから」「そんな余裕はないから」「お金がないから」。そんな”いいわけ”をしているうちに、状況は大分不味い事になってしまったのではないか。そんな危惧を抱きました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。