2.大賞作品の「安定性」と「素材感」
次に気になったのはやっぱりここでしょうか。数は少ないですが、今期のアニメには所謂「ライトノベル大賞」の受賞作品が存在します。『アサシンズプライド』と『俺を好きなのはお前だけかよ』です。一話時点の評価はどちらもSとAで及第点を超えるものとなっていて、これを知ったときの感想が「やっぱり一応プロの見る目はまあまあ信頼出来るんだな」という物でした。前述の「アマチュアの人気」が「質」を担保していないのとは真逆の結果になった格好です。
ただ、ここにも一つ問題があります。タイトル通り「素材そのまま感がする」という事です。素材そのまま感と言えば聞こえはいいですが、ようは「直せばもっと作品の質が上がりそうな訂正ポイントが残ったままになっている」という事です。どちらをどのように手直しするべきなのかという部分や、どこを伸ばすべきなのかという事に関しては何度も見て行かないといけない部分なので今回は割愛しますが、どちらも惜しいなという感想が先行しました。『アサシンズプライド』はキャラクター自体への理解が進まないまま山場に入ってしまった印象を受けましたし、『俺を好きなのはお前だけかよ』は作品の売りと思われるギャグを活かすテンポが無かったかなぁという感じがしたのです。
勿論、作品自体の売りと表裏一体であるという部分はあると思います(特に『アサシンズプライド』はそういう側面が強い)。ただ、より伸びたであろう原石を、磨かずそのままだしているなぁという感想は正直否めませんでした。この辺りはいつからなのか、レーベルによって違うのかは読み比べて行かないと分からないところ(ファンタジアは数年前からその傾向がありましたが)なのですが、勿体ないなーというのが正気な感想ですね。特に『アサシンズプライド』は、その欠点が直っていれば、多分単行本を購入して読んでいたと思います。それくらいの力を感じるのに、活かされきっていないのはなかなかにもどかしいものを感じました。育てる、という事が出来る人が少ないから、なのでしょうか。
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