第3話

そのうちにいつのまにか寝てしまった。



次の日、学校に行こうと家を出ると、家の前にひろきがいた。


怖いくらいに鋭い目で俺を凝視している。


俺はなにを言えばいいのかわからないままにひろきを見ていると、ひろきが言った。


「今日はいっしょに学校へ行こう」


俺は気乗りがしなかったが、とてもじゃないが断れる空気ではない。


「ああ、いいよ」


そのまま二人で学校にむかった。


そのうちに廃家にさしかかった。


そのまま前を通り過ぎしばらく歩くと、ひろきが立ち止まった。


そしてゆっくり振り返り、昨日と同じ場所をきつく見た。


「やっぱりいる」


俺も振り返ったが、そこには誰もいなかった。


一瞬迷ったが、とりあえず聞いてみた。


「女がいるのか。どんな女だ」


「黒いワンピースに長い黒髪。顔がありえないくらいに青白くて、大きな真っ黒い目で俺を見ている。どう見ても普通の人間じゃない」


具体的だが、やはりそんな女はどこにも見えない。


――こいつ、からかっているのか?


そう思ったが、ひろきの顔からはそんなものは微塵も感じられなかった。


「見えないのか?」

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