第13話
今日はここで寝るみたいだ。
川も近くに流れている原っぱだ。
テントがものすごく立派!布団もふんわりしてて気持ち良さそう。なんだかテントで寝るのが楽しみになって来た。
それにしても、いったいギルベルトは何者なんだ?
こんな大きなテントをサクサク建てちゃうし、どこにこんな荷物を入れていたのだろうか。収納上手?
ご飯を作ってくれてるんだけど、素晴らしい手際だ。いい香りのするお肉料理があっという間にホカホカ湯気を立てて出来上がったよ。
お肉を焦げないように僕がちゃんと見てた。
子どものお手伝いか!!
もう少しなんか出来るよ!やらせて欲しいのに!
なんだかんだで、ギルベルトの横に居るだけで終わりだ。
何にもしてないのに、ありがとうチュッチュだよ。
もちろんとても美味しかった。お腹がいっぱいだ。
森の中は、やっぱり夜になると少し怖いな。周りが真っ暗で何も見えない。焚き火の赤い色と、木の爆ぜる音が神秘的な空気を創り出している。
心細くなって、知らない間にギルベルトの服をギュッと握ってた自分に気づいて、恥ずかしくなって、こっそりギルベルトを見たらバッチリ目が合った。
ぎゅーっとされてチュッチュチュッチュ。
「あっ、あのさ。ギルベルトは何者なの?何でも出来て、しかも手際も良すぎてパパッと簡単に済ませちゃうし、ご飯だって全部美味しくて、もう僕お腹パンパンだし、僕がすごく快適過ぎるし、すごすぎて独り占めしてて良いのかな?誰かが困ってるんじゃないのかな」
優しく降ってくるキスに恥ずかしくなって思いつくままを喋ってしまった。
「ハニーが俺のことに、そんなに興味を持ってくれるなんて!嬉々として教えよう。
俺はね、騎士団に入隊しているんだ。これでも隊長を任されている。
訓練で、テント設営から、調理なんかの生きて行くすべは、入隊直後からみっちりと教え込まれるから、その賜物でもあるかな。戦いの合間の食事は隊全体の活力にも繫るから、煮炊班を任されていた頃に、あれこれ自分でも工夫して、美味しさを追求してみたりしてね……」
ギルベルト。隊長さんだったのか。やっぱり凄い人なのか!騎士団って、戦うって、戦争とか?って事?
危険だ!
なんてちゃんと聞けていたのも最初の方だけ。
あとはギルベルトの声が心地良すぎて、子守唄にしか聞こえず、お約束の寝落ちをかます僕……。
自分から聞いといて酷くない?ごめんなさい。
だって、今日はもうクタクタだったから……。また教えてください。
朝方、夢うつつの中。やっぱりお布団ふかふかぁ。と感触を味わって、少し寒かったので、布団の中の暖かいのを、身体にも巻きつけつつ、潜り込んでもう一度眠った。まだ目を開けたくない、まだ寝ていたい。あったかふかふかさいこぉー
よく寝たぞ。あ、よだれ……。
は?まだ夢?僕イケメン布団に寝てる夢見て……る?
クスッ、布団のイケメンに笑われた。
どっぅわ!現実イケメン布団にしてたー!
ぎゃあー!胸の辺りがまーるく濡れてる……。
もしかしなくても僕の口からのエキスー!!
「おはようハニー。今日も一段と愛らしいな」
スルッと口元を滑る指、惜しげも無い笑顔、デコチュッ。
「ギ…ルベルト、おはよ」
今日の僕の目覚めの一コマでした……。
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