第8話

 「ただいま。大分待たせちゃったかな。暇だったかい?ごめんね」


 何を買ってきたんだろ。おっきい袋を肩に背負っている。うぉっ。眩しい!笑顔が眩しいですぅ!

 

 そのままズザッと近づいてきて頭にチュッ!ぎゅー。だ。

 

 1人で待ってる事ぐらいちゃんとできるよ。ギルベルトは心配性なのかな。


 「明日この街を出て国に戻る事になってしまったんだ。急で申し訳ない。俺の住んでいる所はドラニクル国と言って、ここケルフランクから真っ直ぐ向かえば、3日程で着くかな。もちろん道中ハニーには不自由な思いをさせない様、準備万端だからね」


 重そうな荷物を置き。

 目線を合わせ、ほっぺなでなでチュッチュ。

 跪いて手の甲にチュッ。手をギュッと包み込み、キラリんスマイル。


 僕。コクっ。


 ふぉっ。うんっ、て頷いちゃったよ。

 置いて行かれたらすっごく困るけど、どこの誰かも分からないヤツ連れてっちゃって良いのかな?途中で嫌にならない?僕何の役にも立たないと思うよ?分かってるのかな。


 「あの、迷惑じゃないですか?僕、何も役にも立たなくて……きっと……そ…の……ハニーって……」


 「ん?その事に関しては、もう昨日解決しているだろう?俺がずっと側にいる事を、そしてお世話をさせてくれるとハニーはちゃんと了承してくれたじゃ無いか。一晩寝たら忘れちゃったのかぃ?フフッ可愛いね。それとも俺の忠誠心を試したのかな?どっちにしろ、約束を違えること無く俺に全てを任せて欲しい。いいよね。ハニー」


 ぎゃっ!なんで抱っこ〜?ひぃ〜!顔が近い!近いですぅ!

 うぉっふ。背中すりすり〜。ほふぇ〜耳はやめてよぉぉハニーってなにぃ〜。


 完全ノックアウト。敬語の使用禁止も約束させられた僕なのであった。




 (全て予想通りだ。ハニーが昨日の事をきっと覚えてはいないだろうと推察はしていたさ。もう眠ってしまっていたからな。それ故のあの笑顔だったのだろう。愛くるしいなんてぇ物じゃ無い!!あれは危険すぎた、俺でさえ凄まじい動悸に心臓が止まるかと思った程だ。ハニーは可憐過ぎる。これからが心配だ。だがしかし!さらに!お世話させて貰う事まで承諾してもらえた!!これはでかしたな俺!

 必殺どさくさが功を奏したぞ!

 帰国するだけの道中だが、正直楽しみしか無い!!二人きりでの生活!ワクワクしか無いっ!!)


 あっという間に残念イケメンが出来上がった。最短記録更新か?!


 

 買い出しついでに国の様子を確認する為の連絡をしたつもりだったのだが、直ぐに帰って来てくれとの事で急な運びとなってしまった。少々国を離れ過ぎたか。

 まぁ良い。二人の時間はまたしっかり確保する迄だ。愛らしい番を皆に見せ付けてやるか……。


 ワクワクしか無い!!ワクワクしか無い!!


 


 


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