第3話

 やっと目を開けてくれた。

 

 あぁ、美しい。

 瞳は黒色だったのだな。なんとめずらしい。

 俺を見つめてくれている。あぁ。

 潤んだ瞳の愛らしい事といったら……

 

 決して離さない……離さない。


 ギルベルトは、甘く微笑んだ顔には決して出してはいないが、心の中では想いが溢れすぎており、抑えきれずにいた。


 砂漠で発見した時は、何も身につけておらず、持ち物らしき物も辺りにはなにも無かった。ギルベルトの上着でそっと包んで、優しくマントの下に抱いて来たのだ。


 まだ子どもなのだろうか、ギルベルトの上着が太ももを隠せるほどまで届いているし、体重も片腕で簡単に抱き上げてしまえる程に軽い。

 しかし、呼吸が荒く苦しそうだった為、とにかく早く楽にしてあげなくては……

 

 と、考えるのを後にして、とにかく街まで急いだのだった。


 そして、それから2日経ったつい今しがた、やっと気がつき、ほんのひと時ではあったが、目を開いてくれたのだ。


 目線が交わった時の衝撃たるや……


 ギルベルトが思っていた以上の感情が身体中を駆け巡り……正直ヤバかった。本当に、ヤバかった……。


 まずは、次に目を覚ました時に食べられそうな物を用意して……


 なぜあんな所に倒れて居たのかも聞かねばな。攫われでもしていたとしたら……まぁ犯人を殺すまでだがな。


 先程までの眩しい笑顔からは想像出来ない凶悪な笑みを浮かべた。




 


 




 

 

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