第2話

 身体がとても重い。身体がとても熱い。


 瞼をゆっくりと持ち上げる。


 「んっ......」


 眩しさに、掠れた声がもれた。



 「良かった。やっと目をさましてくれたね。」


 聞き慣れない声がする。


 (あれ......ここは何処だ......どうしてここにいるんだ...っけ......)


 目を数回瞬かせ、働かない頭で思い出そうと試みる。


 「安心していい。俺が、倒れていた君を運んで来たんだ。ここは俺が借りている宿の部屋だよ。」


 眩しい笑顔を惜しげもなく見せつけて来る金髪の男が優しい手つきで、額や頬に触れ、首筋にまでスルスルと手を滑らせて来る。


 ごく自然に触れてくる冷たい手が気持ちよくて、無意識に息を吐く。

 

 ぼーっと男を見つめていると、また安心させる笑顔で見つめられた。


 「まだ熱が高いな。もう少し休むといい。俺はずっと側に居るから、安心して眠って良いよ。おやすみ。」


 とても甘い声で囁かれ、大きな手で頭を安心させる様に撫でられる。


 と、途端に頑張って開いていた瞼が閉じてしまう。


 「......おや...す......み...なさ......い......」


 掠れた声で、ちゃんと言えていたかどうかも定かでは無いが

 優しく優しく、頬を大きな手で包まれ、その後何か柔らかい物が反対側の頬に触れた.....


 ような気がした。


 


 

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