第9話 散歩を嫌がった理由…

『今日も豆ちゃんはいないのか…』


 あれから毎日…散歩コースを見ているが小林さんはみるものの豆ちゃんは見なかった。


 もちろん、前は遅刻しそうになったから早めにきている!!他のワンちゃん達を見て癒されるが豆ちゃんが気になってしょうがなかった。


『はぁ…今日もダメなのか』


『あら!心愛ちゃん??元気がないわね』


『あっ!小林さん…あれから豆ちゃんはどうしてますか?』


『それがね~!あいかわらずなのよ…』


『そうですか…』


 豆ちゃん本当にどうしたのかな?豆ちゃんが心配でネットで色々調べたがわけらなかった。


『あっ!昨日は病院に行ったのよ~』


『それで!!どうでしたか?』


『悪いとこもなくてね~少し運動不足だけど健康だって言われたのよ!!』


『病気じゃなかったんですね!!よかった~』


 病気かな?と考えていたからほっとした。


 でも、病気じゃないってことはなんで大好きな散歩をしないのかな?身体的問題じゃないのなら心理的問題なのか??会ったらすぐにわかるのにーー!って私は叫びたかった。


 動物と話せる事がわかったら変人だとか言われたり、本当なのか?と疑いの目を向けられるから秘密にしたいからそんな事はしない。


『心配してくれてありがとうね~よかったら家に来て豆ちゃんに会うかしら??』


『えっ!いいんですか??ぜひ、豆ちゃんに会わせてください!!』


 私は小林さんの手をとって首がお折れそうなくらいふった。


『心愛ちゃんは学校があるでしょ?4時半ぐらいに犬の王様の所はどうかしら??』


『はい!4時半に犬の王様の所で!!』


 今日は午後まで授業があるが4時半なら平気だ!!私はスマホにメモをした。


 犬の王様とは散歩コースのシンボルで王冠をつけたワンちゃんで可愛いのだ。


『学校の時間は平気かしら?』


『あっ!もうこんな時間』


『急いだ方がいいわよ~』


『はい!!それではまた後で』


『えぇ』


 前回とは違い軽い足取りで学校に向かった。





 ________________________________________





 学校には間に合い!ようやく放課後になった。


『さぁ、豆ちゃんのもとへ行くぞーー!』


 鞄に筆記用具やノートをしまい私は学校を出た。


『少し早かったかな??』


 約束どおりに犬の王様の所にきた。


 時間はまだ少し早いが楽しみすぎてワクワクしている!!それに、他のワンちゃん達もいて会話が聞けるからとても楽しいのだ。


『◯◯さん家の光君カッコイイよね~💕』


『うんうん!!』


『それに服もオシャレよね~』


『◯◯さん家のマロン君は優しいけど寝すぎよね~!毎回散歩の途中で眠くなって帰りは飼い主さんが抱っこしているのよ!!』


『それを言うなら◯◯さん家のポチは男の子(♂)なのに女の子(♀)の服を着せられてたわよ』


『あるあるよね~!』


 水を飲むところではチワワやポメラニアンなど小型犬が集まり恋ばな?情報共有?をしていた。


 他の人にはワンワンとかキャンキャンって聞こえるだろうが私には会話が聞こえる!!やっぱりワンちゃんも恋ばなとかするんだなぁと聞いていた。


『お待たせ~!心愛ちゃん』


 そんな会話を聞いて癒されていると小林さんがやってきた。


『いえ早くついただけなので平気ですよ!』


『あらそうなのね?よかったわ~遠くから見たらもういるから急いで来ちゃったわ!』


『焦らせてしまってすいません!!』


『いいのよ!そんなことより家に行きましょ~♪豆ちゃんがまってるわよ!!』


『はい!!』


 やっと丸ちゃんに会えると小林さんの後をついて行った。






________________________________________







『お邪魔します~』


 家に上がると豆ちゃんは座布団の上で寝ていた。


『あら、豆ちゃん寝てるわね~』


『そうですね!撫でても平気ですか??』


『もちろん!心愛ちゃんなら大歓迎だと思うわ』


『ありがとうございます!!』


 そっと鼻の所で匂いを確認して貰ってから背中を撫でた。


『毛はふわふわだなぁ…それに、撫でた感じは痩せてないな!!』


 毛もふわふわで艶々してるけど…本当になんで散歩を嫌がっているのかわからなかった。


『うーん?心愛ちゃんの匂いがしゅる??』


『可愛い~💕』


 皆さん聞きました?しゅるって可愛いくないですか?寝ぼけている豆ちゃん可愛い💕さらに、背中を撫でるとうるうるの瞳が見れた。


『心愛ちゃんだーー!』


 豆ちゃんは起きると私の顔をペロペロしてきた!めっちゃ元気そうだ。


『あらー!豆ちゃん起きたのね!!私はお茶の準備をするから待っててくれるかしら?』


『あっ!ありがとうございます!!』


 小林さんはそう言ってお茶の準備をしに行った。


『なんで心愛ちゃんが家にいるの??』


 起きたらいつもいない人がいたら驚くよね?私は豆ちゃんにここにいるのかを説明してなんで、散歩をしないのか聞いてみた。


『だってね…光君が!!』


『光君が?』


 あれ?さっきどこかでその名前を聞いたような気がする??うーん…どこでだっけなぁと考えているとまさかの理由だった。


『私の着ている服がダサいって言ったんだもん!!』


 豆ちゃんは顔に皺を寄せて言った。


『えっ??』


 散歩を嫌がったのはそれが理由なのーー?予想外な答えで私は驚いたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る