第8話 豆ちゃん

『可愛いなぁ💕』


 私は学校に向かう途中にある散歩コースを歩いている。


 夏の時は暑くて散歩の時間を午後にする人が多くて朝は見ることが出来なかったが、秋から冬にかけてのこの時期は朝に散歩をする人が多くて毎日ワンちゃん達を見ることが出来る。


『ワンちゃんを見てると幸せだなぁ~♪冬毛だからモフモフしてる~!!』


 幸せすぎて顔は緩み…ニコニコしながら飼い主さん達に挨拶しながらワンちゃん達を見てた。


『心愛ちゃんおはよ~!』


『あっ!小林さんおはよございます~!』


 散歩コースを歩いているといつもここを散歩してると小林さんが話しかけてきた。


 小林さんは散歩コースの近くにある平屋の一軒家で旦那さんと暮らしている。


 年齢は60代だが毎日元気に散歩しているのだ!ちなみに話し口調でわかると思うが女性だ。


『あれ?今日は豆ちゃんいないんですか??』


 いつもは豆ちゃんと言って豆柴の女の子と一緒にいるのに今日は一緒じゃなかった…。


『そうなのよ~!!最近は散歩を嫌がるようになってね家にいるのよ…』


『あんなに散歩が好きな豆ちゃんなのに?病院とかは行ったんですか??』


『まだ行ってないのよ…ご飯はしっかり食べるし、気になると言ったら少し太ったかしらね~』


『そうなんですね~!ご飯をしっかり食べれるようならよかったです!!』


『まぁ、季節的な物かしらね…何もないといいんだけどね』


『そうですね…』


 豆ちゃんどうしたんだろう?頭の中は豆ちゃんの事でいっぱいだ。


会えたら会話が出来るのになぁーー!そう思っても会えないなら豆ちゃんの気持ちを知ることは出来ない。


 せっかくこんな超能力?があるのに使えなければ意味がない!!出来ることがあるならしたいのに出来ない事に歯痒さを感じるのであった。


『あら、もうこんな時間よ!!学校は間に合うかしら?引き留めてごめんなさいね』


『もうこんな時間!!すいません小林さん…また今度会えたら豆ちゃんの話を聞かせてくださいね』


 私はそう言って走って学校に向かった…。






 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






 小林さんと別れて学校に向かうと何とか授業が始まる5分前についた。


 今は授業を受けているが全然…頭の中に内容が入ってこない!豆ちゃんが気になってどうしようもなかった。


『はぁ…』


 豆ちゃんに会いたい!!いつもだったら元気に挨拶をしてくれてうるうるの瞳で見つめてくれるのになぁ…私はスマホのアルバムを開いた。


『可愛い💕』


 アルバムの中は豆ちゃんのフォルダがあって動画や写真がたくさんある!!もちろん、飼い主さんの小林さんに許可を撮って撮らせて貰っている。


 これは夏の時…麦わら帽子を被った姿、これは梅雨の時に散歩が大好きな豆ちゃんのために小林さんが買ったカエルのカッパを着た豆ちゃん~♪オシャレがとっても大好きな女の子なんだ。


 授業中にスマホを弄るのはダメだと私はスマホを鞄の中にしまった。


『はぁ…』


 豆ちゃん何してるのかな?やっぱり体を悪くしているのかな??気になってドンドン暗い方の考えをしてしまう。


 もしかしたら病気とか?妊娠かな??妊娠はないな…確か豆ちゃんは避妊手術をしていた。


 飼い主さんでもないのにそんなに心配するの?って思う人もいるだろうが私にとって豆ちゃんはとても大切な友達なんだ。


 人と動物では寿命が違う…どんなに気を付けても人も動物も寿命がありいつかはお別れをしなければいけない。


 けれど、その別れは交通事故や病気ではなく頑張って生きて老衰で死んで欲しいと思う。


『やっぱり気になる…』


 私はその後も授業に集中出来ず1日を過ごすのであった。

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