002 勇者、証を受け取る。
王様一行は、2日がかりでバナナの村へ到着した。村長との会談もほどほどに、いよいよ勇者との対面の儀式が行われる。勇者の男の子には、光を意味するライトという名前が付けられた。
「勇者ライト様。これが勇者の証である守り刀でございます。」
国王はうやうやしく刀を掲げると、ライトに手渡す。もちろんライトはまだ赤ちゃんなので、母親が受け取る。最初の儀式はこれで終了である。この後勇者が冒険を始めるまで、毎年何等かの儀式が行われることとなる。
「マックスも草葉の陰で喜んでいることだろう。」
村長がライトの母、ローラに声をかける。ライトの父、マックスは数か月前のモンスター襲撃により、命を落とした。村の人々の支えと国からのわずかな見舞金によって、なんとか出産にこぎつけた。
ローラの人生も一変する。翌日から村には取材依頼が殺到していた。ローラはまだ出産したばかり、ということで、村長が取材対応を行った。国からはとんでもない額のお金がローラに渡され、村にはライト専用の学校まで作られた。これからライトは、勇者になるための英才教育を受けることとなる。
「ママ!今日は学校で剣を習ったんだよ。」
4歳になったライトは、勇者の学校へ通い始めていた。
「すごいわ、ライトは何でもできる子ね。」
優しく微笑むローラ。ローラのいう通り、ライトは他の子どもよりもいろいろなことができる。教育が充実しているから、というよりも、単純な勇者補正なのだ。ステータスもすでに一般の大人並みになっていた。
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