17.ぎもん


俺は今、美麗を送った後の相沢家の前で立ち尽くしている。

恐らく顔は真っ赤だろう。

鏡を見なくても分かる程に顔が熱いからな。


思い返してみれば、今日の美麗は朝からどこか様子がおかしかったような気がする。






朝、電車に乗っているところで美麗からメッセージが届いた。


相沢美麗:遅れるから、先に行っててね


今まで、美麗が待ち合わせに遅れるなんて無かったから心配になった俺はすぐに返事をした。


青羽響:何かあったのか?大丈夫か?


体調が悪くなって途中で休んでるとかだったらどうしよう‥‥


青羽響:まさか、体調悪いとかか?今どこだ?すぐに迎えに行く!


電車から降りたら走るために軽く足首をほぐしていると、駅に着く前に返事がきた。


相沢美麗:ちょっと寝坊しただけ。大丈夫。


良かったぁぁ。無事か。


青羽響:良かった。だったら待ってるよ。あっ、急がなくていいからな。ゆっくりでいいぞ。


走ったりなんかしたら転んで怪我するかもしれないからな。



結局、遅れると言っても3分くらいだったが、美麗がばつが悪そうな顔をしているのが少し気になった。

遅れるくらい気にしなくていいんだぞ?




昼、美麗と一緒にいつもの場所で美麗の作ってくれたお弁当を食べる。

尚、元々学食や購買で使っていた500円を払おうとしたら断られたので、優子さんと話した結果、1週間で千円を受け取ってもらっている。


お弁当箱を開いたところで、美麗が不安そうな顔でこちらをじっと見ているのに気づいた。

‥‥何だろうか?


恐る恐る、まずは卵焼きをを口に入れると


「おっ、味変えたのか。これもすっげー美味い!」


なるほど、味付けを変えてみたから不安そうだったのか。

美麗は嬉しそうに笑った後にハッっとした顔をして、またすぐに嬉しそうな顔をした。


‥‥どうしたんだろうか。




学校からの帰り道、今日は喫茶店に寄ったのだが美麗が周りをキョロキョロしたと思ったらモジモジし始めた。


「どうかしたか?」


「‥あの、響君。頭を‥‥撫でて?」


!!!?


美麗からのおねだりとか初めてなんだけど!

しかも上目遣いっ!

何だこれ、可愛すぎて気を失いそう。


「あ、ああ。勿論いいぞ」


何とか正気を保って美麗の頭を撫でると、

また、美麗は嬉しそうに笑った後にハッっとした顔をして、またすぐに嬉しそうな顔をする。


‥‥ちょっと帰りに聞いてみるか。




美麗の家の前に着いて、今日どうしたのかを聞いてみようと口を開きかけて


「‥響君」


美麗から声をかけられた。


「ん?どうした?」


すると突然



美麗に抱きつかれた。


!?!?!?!?!?


危ない、魂が抜けかけた。

美麗から好きとかも恥ずかしがって滅多に言ってくれないが、

美麗から抱きついてくれた事は初めてだ。


すると、俺の胸に顔を埋めた美麗が




「響君、格好いいです。大好き」




そう言って家に駆けて行った。


俺の魂は旅立った。




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