13.なまえ
日曜日、浩二とよく行くマックで浩二と一緒にハンバーガーを食べている。
浩二とこうしてだらけるのも結構久しぶりな気がするな。
ずっと家にいても暇だったので電話したら浩二も暇だったらしくとりあえず昼飯でも食いながら予定を決めようって事で合流した。
「そういえば、今日は相沢ちゃんは?」
「ん?みーちゃんは」
「え?みーちゃん?何それ?」
「あぁ、これは昨日‥‥」
‥‥‥‥‥‥
‥‥‥‥
‥‥
‥
土曜日、今日は相沢家にお呼ばれされていた。
相沢の父親に会うのだろうかと
『娘さんと交際させて頂いている青羽響です。宜しくお願いします』
と脳内で反復練習したが、どうやら相沢の父親は土曜も仕事があるらしく不在の模様。
どうせなら挨拶して認めてもらいたかったな。
今日、相沢は母親の優子さんとお菓子作りをする予定だと聞いていたが、優子さんの提案で昼過ぎに作ったお菓子を食べにお茶に来ないかと朝連絡があった。
と言う事で相沢家にやって来た。
インターホンを押して待っているとドアが開いて
「‥青羽君、いらっしゃい。上がって」
と、相沢が微笑んでくれた。
俺の彼女は今日も可愛いです。
「お邪魔します」
と言ってリビングまで案内されると優子さんが出迎えてくれた。
「青羽君、いらっしゃい」
優子さんとは相沢と恋人になった時以来会っていなかったので、脳内で反復練習したセリフが活かせそうだな。
「ご無沙汰してます。青羽響です。前回お会いした時は友達と言いましたが、今は娘さんと交際させて頂いてます。宜しくお願いします」
と頭を下げた。
「ふふっ、美麗から聞いてるわよ。美麗を宜しくね、青羽君」
「はい、大切にします」
優子さんは優しく微笑むと
「青羽君とゆっくり話してみたい気もするけど、今日は美麗の部屋でくつろいでね。あっ、少しくらいなら変な事してもいいわよ?」
2人して赤面したのは言うまでもない。
相沢の部屋に1人で残されて落ち着かない。
相沢はいつもこの部屋で勉強したり、眠ったりしてるのか‥‥
枕の横に置かれたパンダのぬいぐるみを見て嬉しくなった。
「‥お待たせ」
相沢が紅茶とコーヒーと手作りのお菓子を乗せたお盆を持って部屋に戻ってきて部屋にある小さなテーブルに置く。
「優子さんに気を使わせちゃったかな?」
「‥えっと‥違くて‥私が2人で私の部屋がいいってお母さんに‥」
「そっか、なら良かった」
それはただの思いつきだった。
いや、タイミングは見計らっていたが切り出すタイミングが分からず、今相沢の母親を『優子さん』と言った事だし、切り出してみるなら丁度いいかなと思ったわけで
「あのさ、相沢」
「‥?」
「名前で呼んでみていいか?」
「え?‥う、うん」
俺のその提案に相沢は照れながらも頷いてくれた。
かく言う俺も口に出す前から照れてきた。
顔の熱が上がっていく。
深呼吸を一つして切り出した。
「美麗」
ビクッとした相沢は、段々と顔を赤くしながらゆっくりとした動作で長い後ろ髪を顔に持っていき、顔を包むように隠してダンゴ虫モードになってしまった。
言った俺も頭が沸騰しそう。
静寂があたりを支配する。
「‥‥名前呼びは、まだ早いかもしれないな」
「‥うん」
「あだ名とかどうだ?試しに1週間くらい」
今度こそ本当にただの思いつきで言ってみた。
提案してみたものの‥‥あだ名か。
みれい‥みれ‥れい‥みい‥みぃ‥みぃちゃん
「みーちゃん。とかどうだ?」
「‥私は‥‥えっと‥‥ひー君?」
「みーちゃん」
「‥ひー君」
「みーちゃん♪」
「ひー君」
「あはは、みーちゃん♪」
「‥ふふっ、ひー君♪」
‥‥‥‥‥‥
‥‥‥‥
‥‥
‥
「と言うわけだ」
「爆ぜろバカップル!!」
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