第12話 合コンで
「ねえ、斐音ちゃん」
「はい」
「今度合コンするんだけど、どうしても頭数足りなくて付き合ってほしいの」
「えっ? いや…でも…」
「お願いっ!」
両手を合わされ渋々参加となったものの、その席に陸がいた事には驚いた。
合コンも盛り上がり二次会へ―――
ボーリングで騒ぎ各々楽しんだ。
「じゃあ次、パートナーを選んで、もう1ゲーム」
陸と組む事なくその時間は過ぎていった。
そして、お開きとなり私達は解散。
陸は別の女の人といなくなった。
そんな私は休みであろう、いつものバーに寄ってみた。
店の入り口には準備中の札。
取り合えず開けてみる。
「…今晩は…店…休みですよね…」
「斐音ちゃん? うん、本来なら休みなんだけど大丈夫だよ。いつもので良いかい?」
「はい」
「今日はどうしたの?」
「合コンで…」
「合コン?」
「うん。お店開いてるとは思わなかったけど…」
「陸君から頼まれていたから。本来は、休みだからね。準備中の札下げてるけど営業中。常連客のみの貸しきり状態かな?」
「そうなんだ」
「合コンの席には良い人居なかった?」
「良い人所か陸が同じ席にいた事に驚いたかな?」
「へぇー、そうだったんだ。じゃあ陸君は斐音ちゃん以外の女性といなくなったパターンかな?」
「えっ!? マスター、私以外の女性って私達は友達だし」
「そう?友達以上恋人未満?」
「えっ? あー…そうかな?」
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
そして――――
「今晩は!」
「あれ? 陸君、一人かい?」
「はい」
「女の人と良い雰囲気だったじゃん」
「あっ! 斐音さん、いた! 良かった! マジ嬉しいんだけど!」
ドキッ
満面の笑みを見せながら、意外な言葉を言われ胸が大きく跳ねた。
「えっ?」
「こっちに斐音さんが寄る事なくいなかったら斐音さん呼び出そうと思っていたから」
「えっ!? マジで言ってる?」
「マジです!」
「そうだったんだ…だけど、良くこっちに来れたね」
カウンターのテーブルに2つのサイコロを転がす。
「…サイコロ…」
「一発勝負、同じ数が出せたら付き合うけど出なかったら付き合わないって」
「それで、どうなったの?」
「一発じゃ勝負付かなかったので3回勝負する事になって…俺の勝ち! 速攻タクシー拾ってこっちに来たってわけ」
「別に速攻来なくても」
「同じ合コンの席に参加していたのに一切絡みなくて…俺以外の男の人と楽しそうだったし」
ちょっとイジケ気味の陸が伺える。
≪可愛い≫
「絡みって…だけど、陸モテモテだったじゃん!」
私達は色々話をしながら飲んでいた。
しばらくして ――――
「陸~~?」
「何ですか?」
「酔っ払っちゃったぁ~♪」
「えっ?」
「泊めて~?」
「………………」
「何よ! 何か言えっつーの!」
「やっぱり酔っ払ってなかったんじゃん!」
「フリよ、フリっ! どんな反応するかなぁ~?と思って」
ツンとおでこをつつかれた。
ドキン
胸が小さく跳ねる。
「酔っ払った斐音さんを何度見てると思ってんの?」
「もう騙されると思ったのに!」
「残念でしたぁ~! 俺は騙されない自信あるし!」
「何? その自信! マスター、もう一杯っ!」
「はいはい」
しばらくして―――
「マスター……お勘定して……」
「はいはい」
フラっとフラつく体を支えつつ席を立つ。
「斐音ちゃん、大丈夫?」
「うん…大丈夫…」
そして、お勘定を済ませ帰り始める。
ガクッ
バランスを崩す私。
グイッ ドサッ
誰かに抱き止められる。
「す、すみません…」
「すみませんじゃないですよ! 酔っ払い! 全く!」
ドキン
至近距離にある顔に胸が大きく跳ねた。
「…陸…」
「むちゃくちゃだろ!? 俺だったから良かったものの」
「…ごめん…」
「遠慮すんなよ!」
「…だって……」
「………………」
「斐音さん、言っておくけど、あんたに何かあったら困んだけど」
「えっ!?」
「一応、俺の女だし」
ドキン
「お見合いとはいえ、ゆっくり付き合っているようなもんだし、例え、お互いがその気ないとしても、お互い自覚して行動しなきゃ」
「………………」
「あんたの居場所は、一応、俺の隣なんだから」
私達はタクシーに乗り、陸のマンションへと移動した。
そして、いつもなら洋服を脱ぐはずの私は躊躇した。
「………………」
「……陸……」
「何ですか? 気分でも悪い?」
私は頭を左右に振り、陸に歩み寄る。
「斐音さん?」
私は陸にキスをした。
「洋服脱がないと思ったら、今日はキス魔ですか?」
「…キスしたくなったから…」
「………………」
「…ごめん…」
「斐音さん」
名前を呼ばれ顔をあげると、陸からキスをされた。
ドキン
「斐音さん…その顔反則」
「えっ?」
陸は私をお姫様抱っこで抱きかかえ、ベッドにおろすと両手を押え優しい重みを感じる中、キスをされ深いキスをされ、首スジに唇を這わせた。
気付けば陸は洋服を脱いでいた。
そんな私も洋服が捲りあげられ、胸元に唇を這わせる中、大きい手が私の胸元にあり、唇は尚も下へ下へと這う。
そして、下の洋服に大きい手が伸びた。
私も成り行きに任せてしまいふと我に返る。
「ま、待って…陸…」
流石にまずいと思ったのか、陸の名前を呼んだ。
酔っ払っていて体がいう事を効かない中、意識もぼんやりとしてる。
「斐音さん…?」
「体だけの関係なんて…それだけの関係になりたくないの……お見合い中とはいえ……過去に、色々とそういう事が続いて…関係持った後も…怖くて…私…」
嫌われるかも?
フラれるかも?
関係終わるかも?
そんな事ばかりが脳裏に過り
気付けば涙がこぼれていた
…………私は初めて
…………彼の前で
…………泣いた
陸は私から離れ、私も起き上がる。
「……ごめん…陸…私が悪いんだよね……その気にさせてしまったから……今日は……帰るね……」
私は帰り始める。
玄関のドアノブに手を掛ける。
ドキッ
ドアノブに駆けた手に背後から陸の手が重なり、ドアには、もう片方の手があり、私を背後から覆うような抱きしめられているかのように行く道を塞ぎ動けない体勢になった。
私の胸はドキドキ加速する。
「帰んなよ!」
ドキッ
「つーか……帰す訳ねーじゃん」
「陸…」
私を背後から抱きしめた。
ドキン
「あんたの涙見て、そのまま帰すなんて出来る訳ねーだろ? 俺のお見合い相手なのに…俺こそごめん…何もしないから帰るなんて言わないでほしい」
抱きしめた体を離し私達は向き合い、陸は再び抱きしめた。
「一緒に寝よう…斐音さん。添い寝しあおう」
そう言うとおでこにキスをされた。
陸は、ぎゅうっと抱きしめた。
私もそれに応え、抱きしめ返した。
私達は一緒の布団に入るとキスをし、私達は抱きしめあって、いつの間にか眠っていた。
お酒を飲んだ後
勢いだったり
成り行きだったり
誰もが
一度は心当たりあるよね……?
朝、目を覚ます。
隣には彼の姿と
天使のような寝顔があった
「………………」
私は陸に触れようとした。
グイッと私の手を掴む。
ドキッ
「寝込みを襲う気あんた」
「ち、違……」
言い終わる前に、キスで唇が塞がれ首スジにまでキスをする。
ドキッ
ベッドから降りる陸。
「昨日はマジヤバかったーーっ! 俺。悪い!」
「ううん……確かに驚いたけど……私こそごめんね…せっかくの良い雰囲気…我慢させてごめん…」
「いや……正直、斐音さんが色っぽく見えて……」
「えっ!? い、色っぽく……?」
かぁぁぁぁ~と体が熱くなった。
「えっ!? その反応、何? 本当の事を言った迄だけど……可愛い過ぎなんだけど!」
「………………」
「……でも、昨日、斐音さんが止めなかったら俺達関係持ってた」
「……陸……」
「まだ、そういう関係じゃねーのに……下手すりゃ斐音さん傷付けてたかも……もしくは……お互いの関係が危うくなってたかも…ごめん…斐音さん」
「ううん……私こそごめん…」
私達はキスをする。
「今度は抱いちゃうかも?」
「えっ!?」
「なーんて!」
「さっき言った後に、そんな事普通言うかな?」
クスクス笑う陸。
「朝御飯作る」
「えっ? い、良いよ。帰るし」
「良いじゃん! じゃあ俺が二人分作りたいから作らせて!」
「…陸…」
陸は朝御飯を作ってくれた。
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