第11話 お礼のキス
ある日の夜。
「今晩は!」
「斐音ちゃんいらっしゃい」
「いつもお願いします」
「はいよ」
すると、カウンターで酔い潰れている一人の男の人の影。
陸だ。
「……陸? 珍しい……」
「かなりペース早かったからね」と、マスター
「そうなんだ……何かあったのかな?」
「でないと飲まねーっつーの!」
バッ
突然顔をあげる陸。
ビクッ
「ビックリしたぁー」
「今晩は! 斐音さん」
ドキッ
滅多に見る事のない普段と違う笑顔に胸が高鳴った。
≪可愛い≫
「酔っ払い!」
笑顔にトキメいたものの冷静に平然に対応する私。
「たまには逆も良くないですか?」
≪ヤバイ……甘えキャラの陸は初めて見る≫
≪可愛すぎ!≫
「う~ん……どうかな?」
「斐音さん、斐音さん。帰り送って下さい!」
「えっ?」
「いつも俺が面倒見てんだしたまには良いでしょう?」
「はいはい」
私は一杯だけ飲み陸を連れて陸のマンションに連れて帰る。
「ほら、陸ついたよ」
「すみません。まあまあ上がって下さい」
「いや今日はもう帰るよ。ゆっくり寝てなさい」
そう言うと帰り始める私。
グイッと私の腕を掴み引き止める陸。
ドキッ
「陸……?」
次の瞬間、私の体は半回転し陸は私を抱き寄せた。
ドキン
「り、陸……? ど、どうしたの?」
「一人にしないで下さい」
「えっ?」
「泊まって行って下さい」
≪嘘……陸のこんな姿……≫
≪余程の事だったのかな?≫
「……つーか……マジ泊まって行ってくんねーかな?」
抱き寄せた体を離す陸。
「一人になりたくねーし」
至近距離で見つめられながら言う陸に私の胸はドキドキ加速する。
私の手を掴み部屋にあげる。
「コーヒー入れます」
「良いよ。私が入れるからゆっくりしてて」
「じゃあ……お言葉に甘えて」
そう返事するものの陸は横になっているうちに、そのまま眠ってしまった。
その姿を見て
私はつい笑みがこぼれた
私は陸の頭をなでる
気付けばキスをしていた
すごく愛しいと思ったからだ
そしていつの間にか
私も眠っていた
―――次の日 ―――
「……あれ?……俺……あっ……そうか……」
顔を伏せ近くで眠る私の姿を見つめる陸。
「俺……かなり酔ってたしなー」
「…んー…」
目を覚ます私。
ドキッ
目が合う私達。
「おはようございます。昨日はすみません」
「おはよう。ううん。いつもお世話になってるし」
「そう?」
「それじゃ私帰……」
グイッと腕を掴みキスをした。
ドキン
私の胸が高鳴る。
「お礼のキス。朝ご飯作ります」
「えっ? い、良いよ!大丈夫だから」
「遠慮しない」
そして、初めて陸の手料理を食べる事にした。
「斐音さん、今日は何か予定ありますか?」
「えっ?ううん特にないよ」
「じゃあ出掛けませんか?」
ドキッ
まさかの突然の誘いに驚く私は胸が高鳴る。
「えっ?」
「良かったらですけど」
「それは構わないけど……お見合いの事もあるし……出かけても大丈夫なの?」
「お見合い中だから尚更、出掛ける事は可能なんですよ。まだ断り入れていないので」
「えっ?」
「俺が斐音さんとの時間を大切にしながら過ごしていけたらと思っているので」
「…陸…」
「だから斐音さん、今の関係を継続しつつ、二人の時間増やしましょう」
「だけど…結婚前提の付き合いとかじゃないの? 前にそう言っていたから」
「強制的ではないみたいですが…まあ…場合に寄っては打ち切りになって他のお見合いの話があるかもしれません」
「そうか……」
「だけど、ここでお断り入れたら飲み友達としてもなくなってしまうと思うので…」
「そうなんだね」
「はい。取り合えず今を楽しみましょう!送ります」
「うん」
「後、もしも俺が他の異性といたとしても、それは気にせずに誤解してほしくないんです」
「えっ? 陸」
「一応、斐音さんとお見合いして斐音さんとの関係を継続しているように話をしてあるので、斐音さんには理解してほしいんです」
「陸…分かった」
大体の時間を話し合い、私は陸が迎えに来るまで部屋にいるように陸から待機しておいてとの事。
そして、2度目のデートとして出掛けた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます