第10話 デート
初めてのドライブ
あなたの隣で
あなたの運転で
私達は出掛けた
「何か変な感じ」
「えっ?」
「いや…いつも顔合わせている陸と明るい時間帯に出掛けるって事ないから」
「分かります。いつもの斐音さんなんだけど何か違うんですよね。とにかく今日は楽しみましょう」
「そうだね」
私達は1日を楽しんだ。
――― 夜 ―――
別れ際。
「今日は1日ありがとう。楽しい時間を過ごせた」
「こちらこそありがとうございます」
「あの…また機会があれば…えっと…」
「それは良いけど…それってお見合いの話を継続する方向になりますよ」
「あっ!そうだよね…なんか全く意識してなかった」
「あくまでもお見合いして仲育んで結婚前提のお付き合いになるから言葉に気を付けないと」
「そうだよね…ごめん…」
「いいえ。それじゃ」
「うん」
1日限りのデート
この時間は
今後はどうすべき?
結婚なんてと思うけど
このまま何もないのは
とても淋しい気がした
ある日、いつものバーに寄ろうとした時、陸の隣には女の人の姿。
ズキン
私の胸の奥が痛んだ。
私はそのまま帰る事にした。
―――ある日の事 ―――
私はいつものバーに入ろうか迷っていたけど、頑張って入る事にした。
「いらっしゃい。あれ? 斐音ちゃん久しぶりだね」
「はい。いつものお願いします」
「はいよ」
「あの…陸…前に女の人と来ていませんでした?」
「あー上司の人とか?」
「…上司…」
≪年上…深い関係…≫
≪でも…≫
「はい、どうぞ」
「あっ!ありがとう。…あの…その後二人で来たことは?」
「ないよ。その後、陸君一人でしか来てなかったし……だけどあの時、見た限り深い関係のような雰囲気もしたけど……」
「えっ!? じゃあ……もしかして体の関係あったりとか……?」
「あるかもしれないし、ないかもしれない」
「……大人の関係……」
「まあ、そのうち来るんじゃないかな? 今日も来るって言ってたし」
「えっ!? 一人? 二人?」
「さあ?」
「だったら帰ろう!」
私は帰る事にし、出入り口付近で誰かとぶつかった。
「きゃあっ! すみません」
「いいえ」
私は足早に帰る。
「あっ! ちょっと落とし……」
私は気付かず、そのまま帰る。
「斐音さん急いでいたみたいですけど……どうかしたんですか?」
「そうかい? 気のせいじゃないかな?」
そして ――――
「マスター、私、落とし物……」
「これだろ?深崎 斐音さん」
ドキッ
「陸っ!あ、ありがとう」
受け取ろうとすると意地悪をし渡そうとしない陸。
「ちょ、ちょっと!」
「久しぶり会ったんだから付き合ってくれても良くね? それともマジ急ぎの用事ある感じ?」
「それは……ていうか私じゃなくて、この前の美人な人でも呼べば?あいにく私は忙しいので!」
私は帰る事にした。
「上司の人、別にそれ以上、何もないんだけど……ていうか斐音さんに見られてたんですね」
「みたいだね。その時、深い関係に見えたんじゃないの?俺もそう思ったし」
「えっ!?マスター、上司なのに手出せないですから」
「じゃあ上司じゃなかったら手出していたんだ!」
「えっ? あれ? 斐音さん?」
「忘れ物!……結局受け取るの忘れたの!」
カウンターに置かれている私の落とし物をもらう。
「あっ!」
「やっぱりナンパ男は、そういう奴だ!」
「………………」
「斐音さん、何か誤解してませんか?」
「別に誤解してないし!」
「してますよ! しかも嫉妬してるの見え見え」
「誤解も嫉妬してません!マスターさっきのもう一杯!」
カチッ
煙草に火をつける陸。
「第一、俺の隣は斐音さんだけのものなんだから」
「別に良いよ。陸は若いから良い奴見付けて結婚したら?」
「本当、意地張りますね」
「張ってません!年齢差あるし」
「………………」
「そうですか。分かりました。じゃあ斐音さんとは、このまま飲み友達で」
「嫌」
「えっ?」
「……それは…嫌…」
「斐音…さん…?」
「いや、それは淋しくなるなぁ~って感じで特別な意味ないし」
「………………」
「マスター、今度こそ帰ります! じゃあね~陸。お先~」
「あっ!斐音さんっ!マスター俺のもお願いします!」
「はいはい」
私達は店を出た。
「本当、面白い二人だね~」
自分の本音を言った事に
恥ずかしいと思った
初めてだった
こんな想い
もしかして私は
彼に…恋しはじめてる?
それとも ―――
「斐音さん」
「陸っ!な、何?」
「可愛いかったですよ」
「えっ!?」
「嫌って言った時の斐音さん」
「辞めて!」
「斐音さん、素直な所あるじゃん!」
「年上をからかうな!」
この時間が楽しいと思っていた
だけど私達の間に
恋愛は存在しますか?
特等席
その言葉に適した関係に
私達はなれるのでしょうか?
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