第7話 お互いの関係

ある日の夜、バーに来ている時の事。



「今晩は!」

「陸君、いらっしゃい! 」

「あれ? 斐音さん、酔い潰れですか?」


「いや酔い潰れなのかは定かじゃないけど。そこまで飲んでなかったし。お酒が入って眠くなった…そんな所じゃないかな? いつも二人肩並べて飲んでるからねぇ~」

「あー…まあ、でも、斐音さんの場合は起きてるか寝てるかのどちらかだからなー」

「こらこら」

「えっ? 絶対そうですって!」



ツンと頬を突っつかれた。



「…ん…」



そんな事をされた事など気付きはしない。



「こらこら、斐音ちゃんの頬を突っついて意地悪しないの!」


「いや…気持ち良さそうに寝ている姿を見たら突っつきたくなりませんか? 俺、意地悪だから。だけど、最近、思うんですよね。斐音さんとの時間が当たり前になってるから、この関係がなくなる事あんのかな?って……」



「陸君」

「俺、20歳だけど、斐音さん27歳だし結婚して家庭築いてって話も遠くはない話じゃないですか」

「そうだね。この前もお見合いの話していたからね」


「ご両親は、やっぱり娘さんの事、心配してるんだろうし……」

「陸君の中では、どうなんだい?」

「えっ? 俺ですか?」


「飲み友達として過ごしているだろうけど、実際自分の気持ちと向き合ってみても良いんじゃないかな?」


「マスター」


「多分、斐音ちゃんの中でも当たり前に過ごして、ふざけ合う事が出来るのは、本音で接する事が出来る相手で心許される相手だと思うよ」


「………………」


「斐音ちゃん、今の陸君位の時から来てるけど、その間お付き合いしている人がいる事が何度かあったんだけど色々あってね」


「………………」


「その時に比べると陸君との時間は凄く楽しそうだよ」


「確かに俺も楽しいかもしれないですね。時々、27歳か?って思うし時々、一人の女性として見てる時あるし。あっ! これ内緒ですよ」


「はいはい。多分、二人は今の仲壊すのが嫌なんじゃないかな?」


「そうかもしれないですね。もし、お付き合いする事になったら、俺、斐音さんとは結婚前提で付き合った方が良いような気がします。会社も、そういう条件付きが場合いによってはあるので……お互いの気持ちが1つになると一番良いんですけど……」



「そうだね。一番良い方法かもしれないね」


「斐音さん、職場で頼りにされてるみたいだし。一番長いからって言ってたっけ?」


「そうなんだね。じゃあ一番信頼性高いじゃないか」


「そうなんですよ。俺が寿退社させようかな?」


「……寿…退…社? 何の話…? ……あれ?……陸? 」

「お目覚めですか?」

「…うん……ねえ……陸…」

「何ですか?」

「…泊めて…」


「えっ!? 起きて早々、その一言かよ?」





~ 御沢 陸 side ~




寝起きの彼女の言い方が


何処か甘える口調に


ドキッとした自分がいた。


いつもの斐音さんじゃない気がした






「だって帰るの面倒だから」

「あのなぁ~」

「な~んて嘘。ごめん帰る。じゃあお先に~」




私は席を立ち帰る事にした。












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