第5話 賭け
ある日の事だった。
「斐音、こっち、こっち」
美須保に呼び出され私は美須保と合流した。
「ごめん、ごめん」
すると、そこには二人の男の人の姿。
御沢さんと、もう一人の男の人。
「二人じゃなかったの?」
「ごめんっ! だって、御沢君と斐音、あれっきりだと思ってたから行かないって断られるだろうって。そうしたら和解したみたいな事聞いて」
「まあ…和解したのかな? それより御沢君って呼び方で良いの? 一流会社だよ」
「プライベートと仕事位は使い分けるでしょう?」
「そうですよ、深崎さん。一流会社であろうとプライベート迄、仕事の関係は避けたいですよ。時と場合に寄って、その辺は分けた方が俺的にも良いです。まあ、余り気にしない方です!」
「ちなみに御沢君は、20歳だから」
「えっ!? 20歳!?」
「あれ? 俺、言いませんでしたっけ?」
「聞いてないし!」
「そうでしたっけ?」
「そうです!」
私はビールを注文し私達は飲んでいた。
そして、お開きとなり ――――
「それじゃ俺、彼女送るから深崎さん送ってやれよ」
彼の同僚であり親友でもある。
蔵本 一幸(くらもと かずゆき)さん。20歳。
「はいはい」
私達は、2-2 で別れた。
「深崎さん、真っ直ぐ帰りますか?」
「ううん、マスターの所に行くよ」
「じゃあ、俺も~♪」
「えーーっ! あんたが来るとお酒が不味くなる!」
「それは、こっちの台詞です!」
私達は言い合いながら目的地に向かった。
「今晩は!」と、私達。
「おや? 今日は二人でお揃いかい?」
と、マスター。
「はい。共通の友達と飲んでいたので」
と、御沢君。
「そうか」
私達は、お酒を注文し飲む。
そして ――――
「ヤバイ……飲み過ぎた……」と、私。
「深崎さん、大丈夫ですか?」
「私、そんなに飲んだっけ?」
「カクテル美味しいから、つい何杯でも飲んでしまうんですよ」
「そうそう。しかも足に来るから」
と、マスター。
「あーー……カクテル久しぶりに飲んだから感覚忘れてた……陸っ! お持ち帰りして良いから取り合えずあんたの所に連れて行けっ!」
「えっ!?」
「駄目なの!? やっぱり女いるのかーー。じゃあ良いよ! 自分の家に帰るから……」
私はフラつく体で帰り始める。
グイッ
私の腕を掴まれる。
「何よっ!」
「それじゃ無理だろっ!? 来いよっ!」
ドキッ
敬語じゃない話し方で軽く叱る彼の対応に胸が大きく跳ねた。
そして、私をタクシーに乗せ、一緒に乗って来る。
「全く! 飲み過ぎだっつーの!」
「…だって…美味しかったから……ごめん……怒ってるよね…?」
「別に」
「嘘だっ! 本当はまだ飲みたかったんでしょう?」
「大丈夫だから」
「………………」
私は下にうつ向いた。
「深崎さん…?」
「………………」
グイッと肩を抱き寄せ、頭を凭れかけさせる。
ドキン
「怒ってないから気にしないで下さい」
私は御沢君のスーツをぎゅうとした。
~ 御沢 陸 side ~
彼女は、俺が不機嫌になったと思い、気にしている様子で下にうつ向いた。
正直、怒ってもいないし不機嫌になってるわけでもない。
俺は、彼女を抱き寄せ、俺の肩に彼女の頭を凭れかけさせた。
そんな彼女は、俺のスーツをぎゅうと掴む。
まさか、そんな反応するとは思わず、つい可愛いと思ってしまった。
そして、俺の住むマンションに移動。
「はい、到着。歩けますか?」
「フラっ、フラっのフラフラで~す」
深崎さんを支えながらもエレベーターに乗るとエレベーターの隅に座り込む。
「大丈夫か?」
「…うん…足も頭もフラフラ…」
そして、エレベーターが到着し、部屋に移動。
すぐにスーツを脱ぎ始める私。
「あー、また脱ぐ!」
「だって…」
バッ
深崎さんのスーツを掴み止める。
「駄目です! 目のやり場がないから、その癖、辞めた方が良いですよ! 脱ぎ魔で口悪いし!」
「悪かったなっ!」
そして、また、脱ぎ始める。
「あー、だから脱ぐ…」
ガクッ
足元がフラついている私は、バランスを崩してしまい
「きゃあっ!」
「うわっ!」
ドサッと私達は倒れ込んだ。
ドキン
御沢君の顔が至近距離にあり、胸が大きく跳ねた。
「…ご、ごめん…」
「別に」
スッと離れる御沢君。
私もゆっくり起き上がる。
「………………」
「やっぱり……私…帰…」
私は立ち上がるとフラつく体で部屋を出て行こうとした。
グイッ
腕を掴まれ引き止められたかと思うと、ドアを背後に私の行く道を両手で塞がれ、私の胸が大きく跳ねた。
「いい加減、大人しくしろよ!」
ドキッ
「その足で、どう帰るんだよ! 無茶苦茶な事言うなよ!」
「…だって…」
「じゃあ、深崎さん、賭けましょう!」
「えっ?」
私から離れる。
「深崎さん、来て下さい!」
「何?」
「ここに、2つのサイコロがある」
「何? またサイコロ?」
「あんたが賭けに勝ったら帰りのタクシー代含め、あんたを部屋まで送ってやるよ」
「えっ!?」
「でも、俺が勝ったらあんたは泊まる事にし、何かしらの借りを返す事。元々、泊める予定じゃなかったんだし」
「…送ってからの借りじゃないんだ」
「えっ?」
「タクシー代と私を部屋まで送る方がかなり負担大きくない?」
「だったら、そっちでも良いけど?」
「いや……良い……私も泊まる予定じゃなかったし、泊める予定なくて迷惑かけてるし! 絶対勝つ自信あるから!」
「じゃあルール説明。この2つのサイコロを振って足した数の大きい方が勝ち!」
「分かった」
ジャンケンをし先攻、後攻を決める。
先攻は御沢君だ。
私達は勝負する。
「1 と 5 ……6」と、御沢君。
「3 と 3 ……6」と、私。
「引き分け」
勝負がつかなかった為、もう1回振る。
「6 と 3 ……9」と、御沢君。
「2 と……2……4」と、私。
「俺の勝ちという事でお泊まり!」
「後、1回っ!」
「勝負は勝負だろう?」
「もう1回っ!」
「………………」
「……分かったよ……じゃあ、結果次第だけど、これで勝ち負け決定だからな!」
「やったー! 絶対勝つ!」
「じゃあ 深崎さん特別に先にどうぞ」
「…4 と ……5 ……9」と、私。
「6 と6 ……12…つー事で俺の勝ち!文句ねーよな? 深崎 斐音さん」
「分かりました! ありません!」
背を向ける私。
「あ〰〰〰っ! 悔し〰〰〰っ!」
私はスーツを脱ぎ布団を被る。
「寝るっ!」
「まだ借りは聞いてねーけど?」
「そんなのあんたの勝手にすれば!」
「勝手にして良いんだ。じゃあ、お言葉に甘えて」
布団の上に乗って来る。
ドキッ
胸が大きく跳ねる。
「えっ!?な、何!? もしかして……ちょ、ちょっと待って! Hなんて事……」
私は布団から顔を出した。
バサッと布団を剥ぎ取られ
グイッと両手首を掴まれ押え付けた。
ドキッ
「ちょ、待っ……」
キスされた。
ドキン
掴まれた手首を離し、頭をポンとされた。
「好きでもねーのに、関係持つわけねーだろ?」
「………………」
「キスでチャラにしてやるよ。シャワー浴びて来る。ゆっくり寝てな」
そういうと私に布団をのせ、再び頭をポンとして脱衣場の方に行った。
「………………」
≪ヤバイ……年下なのに……≫
≪アイツの対応にドキドキしっぱなしだ!≫
≪27歳の私が20歳のアイツに振り回されてる!いや、もて遊ばれてる?≫
年下なのに
理性がしっかりしている
『好きでもねーのに』
その言葉が
私の心を揺さぶられる
今までこういう状況は
何度もあったはず
普通なら
私は
彼の腕の中に
いるはずなのに……
私はベッドから出ると、ベランダの窓際にカーテンの方に行った。
カーテンを少し開け外を見る。
「………………」
「30前の良い大人が、こんな格好してなさけない姿だなぁ~……こんなんじゃ結婚なんて出来るわけないか……未だに独身だし彼氏も出来るわけがないよね……お見合いした方が良い……」
電気が消えた。
「深崎さん、何してんの?」
「御沢君」
カーテンを閉める御沢君。
「洋服着てるならまだしも、その格好で外を見るのはどうかと思うけど? ……それとも……」
グイッと片手で両手でを掴まれ、もう片方の手でアゴをクイッとされた。
「実はそういう気分で誘惑してんの?」
ドキン
胸が大きく跳ねる。
「俺だから良いものの他の男なら、とっくにあんたはヤられてるけど?」
「……私…やっぱり……そういう…雰囲気なのかな……」
「えっ?」
「…実は…私…」
「言わなくて良いし、俺、聞いてもいないんだけど? まだ、過去の事は話す段階じゃない」
「御沢君」
「俺達は顔見知りな程度。恋人でも何でもない。ただの友達」
「…陸…」
「お互いの事は、まだまだこれからだし。今はそんなの抜きで良いんじゃねーの? それより寝てなくて平気?」
「あ、うん…」
「コーヒー作ります」
「うん…」
お互いが知りたい
そう思う時はくるのでしょうか?
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