第3話 彼の仕事場

「お父さんからだ……また…お見合いって……もう…いい加減にしてよ…」



私の父親は、最近


『お見合いしろ!』 と、うるさい。



勿論、それは、私の事を心配しての事だ。


一人暮らし始めて約 9 年。


私の彼氏だと言って連れて行っては彼氏と別れての繰り返しだ。


それからしばらくは、お盆とお正月のみ帰るようになり、その度に、お見合いの事を言ってくる為、正直、帰るのも嫌になる。


今じゃ、27歳という年齢にもなり多少結婚に焦りつつも、でも、恋愛に踏み込めないし、お見合いなんて尚更、気が進まない。


そもそも、男の人に対する不信感があるからだ。





それは、ある日の過去の事に幾つか遡る。



私が高校の時、友達と出掛けナンパをされ強制的に連れて行かれヤバイ事になり逃げた事がある。



他にも高校卒業して就職先も決まり気晴らしに一人街に出掛けナンパされ、しつこい相手で馴れ馴れしいスキンシップに抵抗しつつも、これもまたヤバイ事になったが何とか逃れた。


20代前半は街に出掛ける度にナンパされる事が多く良い事は一切なかった。


だからナンパする人は大嫌い!


別に露出系の洋服を着ていた訳じゃないのにナンパされるのは良いも悪いもある。


人間見た目で判断されがちで色々あるだろうけど、多分私の場合、体目的だけの様な気がする。


付き合った相手が関係持ってすぐに連絡がつかなくなった。


これに関しては何度か同じ経験をしているし、中には二股かけられていた事もあった。


私を都合の良い女として付き合っていたという真実を聞かされ、異性から見る私は、そういう雰囲気があるからと迄言われた。


正直、ショックだった。





ある日の仕事中。



「深崎くん」


と、社長が私の名前を呼ぶ。



「はい」


「申し訳ないのだが、この書類を○○コーポレーションに持って行ってくれないか? 急ぎの書類で直接渡して欲しいんだ」


「分かりました!」



私は外出し、○○コーポレーションという彼のいる会社に急いだ。



「すみません。△△コーポレーションから社長代理で伺いました。急ぎの書類の為、こちらの会社に直接、お渡しして欲しいとの事なんですけど」


「分かりました! 少々、お待ち頂いてよろしいですか?」


「はい」


「今、担当の者が伺いますので、お待ち下さい」


「はい」




ふと時計を見る。



「そろそろ、お昼かぁ~」



そして



「すみません。お待たせ致しました」



振り向く私。




「あっ」



同時に口を開く。


そこには、彼、御沢さんの姿。



「すみません。わざわざ」

「いいえ、お仕事なので。急ぎの書類とかで大丈夫そう?」

「はい、大丈夫です。助かりました」

「それなら良かった」

「それじゃ」



私達は別れた。








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