第9話 隣人の秘め事

ある日の事だった。



「玲二ーー、聞いてくんねーー?」



カチャ

そう言う声とドアが開く音と共に目を覚ます。



「……ん……あれ…? 何か……今……」




次の瞬間。




ドスンと私の寝ていたベッドに誰かが乗ってきた様子で、私の体に体重がかかった。




「きゃあぁぁぁっ!」


「えっ!? きゃ、きゃああ?」



布団をはぎ取られた。



「………………」


「……女ぁぁっ!?」



私の目の前にいるのは、クラスメイトと丈田君がいた。


私は突然の出来事と同級生の訪問者に驚くのと同時に、寝起きの恥ずかしさから、慌てて起き上がり偶々ベッドに運良く残されていた毛布で体を覆うようにくるまった。




「もしかして玲二の彼女!?」



私は首を左右に何度も振った。



「へ、部屋っ! 間違っていると思いますっ!」




すると、そこへ ―――



「どうしたのー?」




声がし、いつものドアから優崎君が顔を出した。




「えっ!? あっ! れ、玲二ぃっ!?」


「あっ! 作馬っ!! 女の子の寝込み襲っちゃ駄目だよー。犯罪だからー」


「…いやいやっ! ……襲った訳じゃないけどっ!あっ、でも似たような事した事になるのか…? 」




優崎君は、私の部屋に入って来る。



「はい、現行犯逮捕っ! 行くよ! 靴忘れるなー」


「あ、ああ……す、すみません……」

「い、いいえ……」

「ごめんねー」

「う、ううん……」



二人は私の部屋から出て行った。







~ 優崎 玲二 side ~




「ヤッベー」

「何が?」

「普通なら警察沙汰じゃね?」

「そうだねー。まあ、未遂だから」

「いやいや、未遂でも……あれ? つーか…ここのドアから俺達入って来たよな?」


「うん、そうだね」

「ここのドア開くじゃん!お前、開かないって!」


「あの時はね」

「あの時? 壊れてたって事?」

「まあ、そういう事にしておく?」

「おいっ! 答えになってねーし! まあ、そんな事より隣の人、誰?」


「えっ?」

「お前の女?」

「違うよ」

「じゃあ、誰? どういう関係? 向こうも俺に対して不信感抱かなかった気がしたんだけど」


「寝起きだったから」

「いやいや、絶対おかしい!説明しろ!」

「そのうちねー」



コンコン

彼女の部屋に繋がるドアがノックされる。



「はい」



カチャ

ドアが開くと彼女が現れた。



「………………」


「あっ! ああーーーっ!紫原ぁぁーーっ!?」



超ナイスリアクションをした作馬がいた。



「コーヒー飲む?」



彼女は微かに微笑むと、私服姿でいつもの学校の髪型である、お下げ髪と眼鏡を掛けて学校の見た目のままの雰囲気で俺達の前に現れた。



「はい、優崎君」



と、俺にお盆の上に乗ったコーヒーの入ったカップ2つと、軽く摘まむ御菓子を乗せているお盆を渡した。



「あ、うん、ありがとう」


「後は優崎君から説明宜しくね! 私、バイトあるから。じゃあ丈田君、ごゆっくり。あっ! 今度私の部屋に入ったら不法侵入で警察だから」


「えっ!? いや、いや、いや!……それは困るから絶対に入りませんっ!」



俺は彼女の性格を作馬よりは大体知っている方だと思う為、作馬の焦る反応に笑いを耐える。


作馬は驚く中、次々に起こる出来事に頭がついていってないのが伺えるから尚更、面白い。


彼女が、俺に説明するように頼むという事は、多分決心した事なのだろう?


彼女から許可をもらったという口実で、俺は作馬に分かるように納得いくまで説明したのはいうまでもない。


そして、彼女に迷惑を掛けない事や支障をきたす事はしないように釘を打っておいた。


まあ、親友の作馬だから信用出来るけど念の為。



だけど、作馬には彼女への想いは言わなかった。


俺は彼女を昔から知っていた事もあり彼女と付き合う事になった時、本当の事を話す予定だけど、もしかすると秘密にしておくかもしれない。


きっと彼女もその方が良いだろうと思うから ――




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