05 徹底抗戦



 そういうわけで、冒頭の話にもどる。

 人さらいの組織のアジトに乗り込んだ僕達は、子供達を無事に救出……。


 そこまではいいのだけど、奥からわんさか悪人たちが出てきてしまったため、逃走に入っているところだ。

 いくらこちらの幼馴染達が魔物ハンターだったとしても、相手の数が多すぎた。

 どんな雑魚でも、数が多いと立派な脅威になってしまう。


「びゃー。こわいー!」

「こわいおっさんたくさんくる!」


 うっさい、ガキども。

 それくらい分かったんだよ。

 頼むから逃げるのに集中させてくれ!


 子供ってこんなうるさかったっけ。

 幼馴染(お嬢様&馬鹿)は妙に真面目だったし、善人だったからなぁ。


 僕は追手をまくために、できるだけ細い道を通って、逃げる。


「こっちだ。いいから、そこの曲がり角を使って。ちゃんと、相手をまくんだぞ。間違っても戦おうとするな。立ち止まると、すぐに囲まれるぞ」


 で、あっちこっち走り回りながら、逃走につぐ逃走。


 いい加減足が疲れてきた事、袋小路にいきあたった。


「くっ、ここまでか!」


 迫りくる人さらい達。

 壁を背にした僕達は窮地に立たされた。


 だが、


「私達には守らなくちゃいけない子たちがいるの」

「俺も俺も。騎士になるんだからここで、負けるわけにはいかないな!」


 諦めの悪い幼馴染達は徹底抗戦の構え。


 彼らが諦めていないのなら、僕も諦めるわけにはいかない。


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