第13話 百合マゲドンへの序曲

<前回あらすじ>

 始祖VS子孫の石化バトルに負けた芽出(めで)はカチンコチンの石化状態に。

 芽出を愛する柔子(やわこ)は始祖メデューサの姉を名乗るステノと共に芽出をかついで学園脱出。

 柔子はアパートで、芽出は神の血も引いていると聞かされる。

 更にはステノは芽出に好意を持っているうえ、ヒモ状態であることも判明。

 こんのやろぁー!

 芽出と百合結婚する気まんまんな柔子が殺意を抱き、コナンくんの真っ黒犯人みたいになる。

 そんな柔子をよそに、ステノが芽出の石化解除を始めた。

 続きは↓

 


 そっか、メデューサの姉ということは石化も出来るしその解除も出来るという訳だよね。

 でもどんな方法で解除するの? 芽出ちゃんは……ア、アソコに触れることで解除してたけど、ステノさんも同じ方法!? やだ、顔が赤くなっちゃう。

 

 芽出ちゃんの前に行ったステノさんをドキドキしながら見る。


 ジ、ジーンズ下ろすのかな? 

 い、いいの? あたしが見てる前でそんなことして……    

 ってスマホ鳴ったんだけど、何このタイミング!

 しかも知らない番号だしっ。

 うーん、どうしよ。

 一応出てみるか。

 

『んっ……はぁ、はぁ……んんっ』 


 え? 何これ? やだ、えっちぃ電話?


 通話オフにする。


「どないしたん?」


 石化した芽出ちゃんをの肩に両手を載せたステノさんが聞いてくる。

 

「間違い電話みたいです」


 そこへ再び呼び出し音が鳴る。


「はいもしもし……」

『イクっ! ああん、イっちゃう~~!』

「切りますね」

『待って、待ってよよよ~ん! ヘルちゃんだよ、ヘルちゃ~ん!』

「地獄さん?」

『あっれ~? そ~んなイジワル言う~? さっきまで一緒に居たじゃん、あのメデューサ対決一緒に見てたじゃ~ん? そう余がヘルメースです。イカしたナウいヘルメースちゃんだよよよ~ん』

 

 通話口に手を当ててステノさんの所へ行くと『ヘルメ~ス、ス~メルヘ~、な~んちゃって』という声を聞かせた。


「恐らく交渉しに電話してきたんやろ。気ぃつけい、さっきも言うたけどコイツ頭が切れる食えんヤツや。間違ってもヤツのペースに乗せられたらアカンで」

 

 そう小声で言われた。


 毎日お巡りさんに追われてそうな痴女が切れ者だなんて信じられないけど、ステノさんが言うなら多分そうなのね。


 ちょっと緊張しながらスマホを耳に当てた。

 

「柔子です、ヘルメースさん」

『んぅ~! 柔子ぉ、そ、そこぉ柔子ぉぉン!』


 すっごいヤラしい声で名前呼ばれたぁ。

 

「い、いい加減にしてください、何の用ですか?」

『にゃんの用でしゅか? いい質問よ、柔子ちゃん、あなたの前にメデューサの子孫いるでしょ?』

「芽出ちゃんですね」

『そそそ、芽出、デメ、出目金、なーんちゃって』 

 

 マジでイラっとくるぅ!……って、だめだめ、ここは我慢よ、コイツ切れ者らしいから苛立たせて自分のペースに持ち込もうという腹かもしれないわ。

 よし、乾いた笑いでひとまず応酬ぅ。


「あはははははははは、それでご用件は?」

「おっ? お~っ? 笑った! ツンドラ気候な反応ばっかなのにこりゃ嬉しくて涙ちょちょ切れるよよ~ん、そんなあなたにヘルメースちゃんのお笑い小噺を披露しちゃうよよ~ん」

 

 応酬は失敗の上ヤブヘビ。

 

「よ、用件に入らないなら切りますからね」

『およっ! 待っておくんなましよよ~ん! じゃあ言うよ、ちゃんと聞くんだよよよ~ん』

「いいから早く言ってください!」

『芽出ちゃん石になったでしょ。困ってるでしょ実際。で~、あれを完全に解く方法ね、メデューサちゃんにキスして貰わないとダメなのよん』

 

 え、そうなの? 今ステノさんが石化解除してるんだけど。

 

 思いながらステノさんを見た。


「でひゃあ、この石化ごっつう強力やでえ」


 啄木鳥みたいに芽出ちゃんの頬へキスの嵐をしてるぅ!

 解除方法ってそれなんだ……。

 でもほっぺの一部しか解除されてないし、ステノさん息が切れてるよぉ。 

 メデューサじゃないとダメっていうの、本当かも。


「そうなんですか」

『という訳で、余の学園へ来るんだよよ~ん。解いてあげるわよ、石化を、をかきせ、なーんちゃって』

 

 え? いいんですか? 喉元まで出掛かったその言葉を飲み込んだ。

 怪しい、絶対何かある。


「ほいほい行って罠に嵌まるなんて真っ平ゴメンなんですけど」

『およよ~ん!? 余がそんなひっどいことするように見える~ん?』

「芽出ちゃんとメデューサの対決煽ってましたよね」

『およよ~ん、それ言っちゃ嫌~ん』

 

 迷うなぁ、ヘルメースの言う通り学園へ行くべきかしら? それとも石化解除の進行具合を見てから判断する?

 

 ちらっとステノさんを見る。


「あかんあかん、これ以上は無理や、ぐへぇ……」


 両手を着いてゼーゼー言っていた。

 芽出ちゃんといえば、首から上が石化解除されて、目を閉じたまま頭を傾けている状態。

 しかもステノさんの唾液でぬらぬらテカってる。

 ちょっとまって! このまま石化解除したら芽出ちゃんのおっぱいやアソコもキスの嵐ってことだよね!? 

 

「わかりました、今からそちらへ行きます」

『よよよ~ん? マジ? ジマ? なーんちゃって」

「何ヤツのペースに乗せられとんじゃ、このボケカスあほんだら!」


 ヒィッ! ステノさんが凄い勢いでこっち来たぁ。


「こら、ヘボメース! 誰がアンタんとこ行くかいな、あほんだら! ひとりで“ピーッ”に“ピーッ”しときぃやこんボケ! ついでにもうひとつの穴に“ピーッ”して白目剥いとれや、このウンコボケ!」


 ひったくったスマホでお下劣言葉連発ぅ!


「ああん? 何やコラ! もういっぺん言ってみぃや!」


 ヘルメースと口喧嘩に! でも口の悪さならステノさんに軍配上がるよぉ!


「おう、いつでも相手したるで! 秒で沈めたるわ! あん? そこまで言うならそっち行くさかい、首洗って待っとれやコラ!」


 え?


「ほな行くで、柔子ちゃん」


 いや、その、スマホ渡しながら何言ってるんですか?


「ちょっとステノさん、行くってまさか学園にですか?」

「おうよ、あそこまで言われてカチ込まないんは真のヘタレやで、ヘルメースとケリつけたるさかい!」


 ペースに乗せられたらアカンで、とか言っといてまんまと乗せられてるじゃないですかぁぁ!


「どっこいしょ」


 芽出ちゃんを軽々と肩に担いだステノさんがあたしのお尻を叩いた。


「ひゃっ!?」

「ええケツしとるやないけ、さっ、行きまひょか」


 あれ? あたしも学園カチ込みに行く流れ?


 思いながら無意識に芽出ちゃんに目が行く。


 って何自分だけ安全地帯にいようなんて考えてるのよ柔子。

 あなた芽出ちゃんと結ばれたいんでしょ、ヘルメースや生徒会と戦うなんて正直怖いけど、強い意志を持って立ち向かいなさいよ!


「はい! 立ち向かいます!」

「おうっ、ええ返事やで、柔子ちゃん!」


 こうしてあたし達はゼウス学園に向かうことにしたのです。


 つづく

 次回予告:神話の神々とアルマゲドン! 柔子の幻の左フックが炸裂、君は生き残ることが出来るか。

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