第6話 あたしの体が会長に奪われた
昼休みの学食をきょろきょろ見回す。
あ、ひとりでコロッケカレー食べている芽出ちゃん見っけたぁ!
「ちわっす、芽出ちゃん」
隣の席へ腰を下ろした。
「や、柔子ちゃ~ん……その~、昨日は私だけ逃げてごめんなさい~」
カレーを食べる手を止めた芽出ちゃんが両手を合わせると何度も頭を下げてきた。
可愛い! それに謝らなくていいから、逃げてくれたことに感謝してるから。
「それよりアソコの石化解除いつしてくれるの? このままだとあたし、一生赤ちゃん産めないんだけど」
な、なな、何言ってるの、あたし!?
「いしゃっ! そ、そうですよね~、今すぐにでもしたいです~、でも、その~……」
んふっ、芽出ちゃんの大事なトコで解除するんだからそう簡単に出来ないよね。
「ちょっと、早く答えてよー」
ああ! また口が勝手に!
「そうだ! ガッコのトイレでしましょ~……あ、でもお昼休み終わりますから、放課後に~」
「いいけどまた逃げたら許さないからね」
どうしちゃったのあたし!? まともなのは頭の中だけで、それ以外勝手に動いちゃう。
あっ! 女神に見えて実はおっかない会長の顔が頭の中に浮かんで来た。
『ところで小憎らしい芽出、まだゴルゴンの首を狙っておりますの?』
「ところで芽出ちゃん、まだゴルゴンの首狙ってるの?」
強制的に会長の言葉が出ちゃうんですけどぉ!
「え? う、うんです~、その為にここへ入学したんですから~」
「それっていつリベンジすんの?」
「え? その、今は柔子ちゃんの石化解除の方が大事ですから」
また会長の顔が頭の中に。
『そんなことはどうでもよろしいですわ、今日の放課後……いいえ、今から盗みに行きませんこと?』
「そんなことはどうでもいいからさ、今日の放課後……ううん、今から盗みに行こうよ?」
「え~? や、柔子ちゃん?」
どうしちゃったの? って目であたしを見てるぅ!
違うんだよっ、あたしが言ったんじゃないよっ!
「ほら早く行こうよ、早く!」
「あっ!」
あたしの意思と関係なく芽出ちゃんと手を繋いだ!
んふっ、この柔らかくて温かい手触り。
じゃなくってぇ!
ああ、強引に芽出ちゃん引っ張って歩き出した。
廊下まで来たところで授業のチャイムがなった。
あっという間に人影が消える。
「止めましょ~」と何度も言ってくる芽出ちゃんに「いいからいいから」と勝手にあたしの口が動く。
最悪。
何でこうなったの?
生徒会室に行って会長と会ったのは覚えてるんだけど、その後がどうにも思い出せない。
そう考えてる内にメデューサの首がある部屋に到着してしまった。
「ほら芽出ちゃん、早くちゃちゃっと盗んできなって」
「何かおかしいですよ~、柔子ちゃん」
「いいから早く! もういいよ、あたしが開けてあげる!」
体が勝手に部屋の戸を開けようとするが動かない。
頭の中の会長が物凄い顔で怒鳴った。
『何で開きませんの!?』
「何で開かないのよ!?」
「や、柔子ちゃん、前来た時も鍵かかってたじゃないですか~」
うん、わかってるよ芽出ちゃん。
でもこれあたしじゃないの、会長が言ってるの。
ってその会長が怒りで顔真っ赤になってるぅ。
『なら壊すまでですわ! あなたのアソコで!』
「なら壊すまでよ! あたしのアソコで!」
ひぃ! 手が勝手に自分のパンツを下げたぁ!
ちょ! え? まさか石化したアソコで鍵を壊そうっていうのぉ!?
「いしゃ~! や、柔子ちゃ~ん、何やってるんですか~?」
見ないでぇ、芽出ちゃん!
これはあたしの意思じゃなく体が勝手にぃ!
何? 手が勝手にスカートの前めくり上げて――――やぁん! アソコが鍵付きのドアノブに向かっていくぅ!
『おほほほ! これで破壊! デストロイですわ! ってあら?』
「うふふふ! これで破壊! デストロイだね! ってあれ?」
鍵付きドアノブの位置が高くてあたしのアソコが届かない。
『きぃぃ! 何やってますの、ジャンプ! ジャンプしてデストロイなさい!』
「くぃぃ! 何やってるのあたし、ジャンプ! ジャンプしてデストロイするわ!」
ああっ、もう死にたい!
何でぴゅんぴょん跳ねながら石になったアソコをドアノブに当てようとしなきゃならないの!?
「いしゃ~! や、柔子ちゃ~ん」
見ないでぇ、見ちゃいやぁ!
『全然届かないじゃないの! こらっ、くそ憎らしい芽出! この女の手を石化なさい!』
「はぁ、はぁ、全然届かない! ねえ、激かわいい芽出ちゃん! このあたしの手を石化してよ!」
「柔子ちゃ~ん、おかしいですよ~、どうしちゃったんですか~?」
芽出ちゃんが涙ぐんでるっ!
ああ、誰か何とかしてぇ!
『いいから早く石化なさい! どうせ後で解除させるんだから!』
「いいから早く石化してよ! どうせ後で解除して貰うんだから!」
「いしゃ!?」
壁ドンしてしまった。
何かちょっといい気分――じゃないでしょ!
「あ、あの……自分の石化部分に触れながら石になれって念じると、触った部分に石化が移りますよ~」
右手が勝手に動いて石化したアソコに触れた。
『石におなり!』
「石になあれ!」
違和感が右手を襲う。
勝手に持ち上がった右手を見ると見事に石化していた。
『おほ、おほほほ! 忌々しい能力だこと!』
「うふ、うふふふ! 忌々しい能力だね!」
「え?」
芽出ちゃんの声と同時に石化した右手が鍵付きのドアノブを破壊した。
『これでこのコは用済みだわ、おほほ』
「これでこのあたしは用済み……ううぅ」
急に全身の力が抜けた。
「柔子ちゃん!」
芽出ちゃんが小さな体であたしを受け止めた。
そこへさっきまで頭の中に聞こえていた声が廊下から響いてきた。
「あらららら、そこのあなた、あの無礼で淫乱なメデューサの末裔じゃありませんこと?」
声の先に目を動かすと会長とペルセウス先輩、その後ろにパラス先輩が立っていた。
「あなたがアテナですね~!」
「お黙りなさい! 下賤の怪物ごときに我が名を口にされたら汚れますわ!」
「アテナアテナアテナ~、べ~~~だ!」
「きぃぃ! こ、この淫乱下品な破廉恥低級怪物の末裔がー!」
「アテナ様、あやつの言葉にのせられてはいけまブッ!」
ペルセウス先輩が会長の裏拳で吹っ飛んだぁ!
「おほほほ! しかと見ましたわよ芽出! あなたの下僕にそのドアを破壊させたのを」
パラス先輩がスマホでこっちを撮影してる。
「アテナ~! あなたが柔子ちゃんを操ってたんですね~!」
「んっんー? なーにをおっしゃってるのかしらー? おほほほ!」
「うううう~! わたしの友達にこんなことするなんて、絶対許しませんよ~!」
え? 今友達って言った?
やったぁ、嬉しい! このまま恋人、そして結婚だよぉ!
って芽出ちゃん、すんごく怖い顔になってるぅ。
あっ、目! 目が大きくなった!
石化ビームが出るぅ!
つづく
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