第4話 エッチな石化解除♡

<これまでのお話>

 

 神話の神々が経営する学園に入学した柔子(やわこ)はメデューサの末裔の芽出(めで)に一目ぼれ。

 

 ところがひょんなことで柔子の右手は石化させられてしまう。

 そんな柔子は怒るどころか追っ手を相手に芽出を逃がす百合っぷり。

 

 芽出もこのままではヒロイン失格と思ったのか、柔子の帰り道に待ち伏せして石化解除を申し出た。

 柔子の家に上がる芽出、ふたりは百合関係になるのか?

 続きは↓


「は、はい~、目を開けてください~石化解除終わりましたよ~」


 目を開けると右手が元に戻っていた。

 


 


 

「わたしを追いかけてきたペルセウス、覚えてますか~?」

「うん、神の一員なんでしょ」

「眠ってるメデューサの首を切り落としたので神に昇格したというのが勇者ペルセウスなんです~」

「そういえばうちの学校、ゼウス学園だよね。ゼウスも何か神話っぽいよね」

「全知全能で宇宙を破壊できる力を持つ~、神々の中でも絶対の存在ゼウスですよ~」

「え? ちょっとまさかうちのガッコ、そのゼウスさんに関係あるの?」

「関係大ありです~、といいますかそのゼウスの命令を受けた神話の連中が世界中を渡り歩いては学園を開いて~、神話の啓蒙活動を行ってるんです~」

「マ、マジですか?」

「マジです~、でも、でもでも~、メデューサの末裔であるわたしもそれを知ったのはつい最近なんですよ~」

「そんな怖いとこで盗みに入ろうとしてたけど、何か関係あるの?」

「あるんです~、あの保管室にはメデューサの首があるんです~。だからこの学園に入学して盗み出そうとしたんです~」

「……マジですか」

「マジです~」

「で、でもさ、それって数千年前のものでしょ? とっくの昔に干からびてボロボロになってない?」

「聞いた話では~、メデューサは首だけでも死ぬことはないそうなんです~」

「ええっ! そうなの? で、でも芽出ちゃん、メデューサの首盗んでどうするの?」

 ≪そ・れ・は~♪ 復讐~♪≫

 

 え? 何この男女混成コーラス?


 辺りを見回した目が芽出ちゃんの所で止まる。


「そうなんです、復讐の為なんです~」


 芽出ちゃんの髪の毛が逆立ってるぅ!


 ≪ラララ~♪ ア~♪≫


 コーラスはその逆立った髪から聞こえていた。


「ちょっと、どうしたのその頭?」

「スネーク合唱団ですよ~。メデューサの頭には蛇が生えてますよね~、その遺伝子はわたしにも受け継がれているんです~。どうぞご覧ください~」


 逆立っている芽出ちゃんの髪に恐る恐る目を近づけた

 はぎゃっ! 毛先の一本一本が蛇の頭!


 ≪今後とも~、よ~ろ~し~く~♪≫


 一斉にこちらを向いたスネーク合唱団が綺麗なハーモニーを奏でた。


「メデューサに睨まれた相手は石化しますけど~、わたしの場合は目を全開にして睨まないと石化出来ないのです~、なのでこのように目を半分しか開けてないんですよ~」


 なるほど、そういう理由があったのね。

 となると芽出ちゃんを驚かせるのは厳禁!

 うっかり開いた目の先にあたしがいたら――――こわっ!


「そ、そう……でも何で復讐なんて物騒なことを……」

「わたしは迂闊に目をパッチリ開けられません、不便です~。それにこのスネーク合唱団、人前で勝手に歌い出してしまう時があります、不便です~。そしてこの貧相な体型に胸、不便です~。それもこれもあのメデューサのせいです~。この恨み言をメデューサに三日三晩聞かせた後、闇オークションに出品してやるんです~。それがわたしの復讐なんですよ~」


 微妙な復讐……それにしても――


「体型と胸は関係ないんじゃない? っていうかあたし好きだよ、芽出ちゃんの体と胸」

「え?」


 しまった! また口が滑ったぁ!


「そ、そう言ってくれるのは嬉しいけど、やっぱりメデューサの遺伝は憎くてしょうがないです~! 許せないです~!」


 ああ! 困った、こんな可愛い芽出ちゃんが復讐だなんてダメ! 絶対ダメ!


「あの、柔子ちゃ~ん、ひとつ聞いていいですか?」

「え? 何なに?」

「メデューサの末裔というわたしを……どう思いますか~?」


 テーブル向こうにいる芽出ちゃんをじっと目をやる。


 めちゃくちゃ可愛いー!

 メデューサの末裔だから何? っていう位可愛いーー!

 昔っから可愛い女の子大好きだったけど、芽出ちゃんは頭一つどころか五つは抜けてるわ!

 はっきり言ってすぐさま結納したい、いえ、結婚して同じ戸籍に入りたい!

 そうしたら芽出ちゃんと毎日ラブラブ、大事なところも触りっこ!

 ああっ、そういえばさっきの石化解除であたしの手が芽出ちゃんの大事なところに触れたんだった!

 はぎゃあ! そ、そう考えるとまた鼻血が出そう!

 ぐふっ、ぐっふっふっふ……。

  

「あ、あの~、柔子ちゃ~ん」

「え、何?」

「全部言ってます……けど~」

「え、嘘!? 」

「柔子ちゃ~ん、私のことをそういう風に思ってくれるのは嬉しいんですけど……」

「え? いや、その、あはは……」

「ところで……」


 え? 芽出ちゃん、何か目おっきくなってない?


「石化解くところを見ましたね~!? あれだけ見てはダメ! って言ったのに~!!」

「ちょっ! 目が開いてる! 開いてるってばぁ!」

≪いま~♪ 石化の時~♪≫


 耳に流れるスネーク合唱団の荘厳なコーラス!

 こっちに向いた赤く光る瞳!

 

「ひえ!!」


 ビームみたいな赤い光が飛んで来たぁ!

 おらよっとぉ!

 よしっ、上手くかわせた!

 ん? カタンと後ろで何か落ちたけど何?

 って本棚にあったミニサボテンが石化してるぅぅ!


「ちょっとぉー! やめっ、止めてー!」


 ヤバイ! ここから逃げなきゃ! って先回りされたぁ!


「石化解除の方法を見られるなんて~! もう結婚出来ない~! 結婚出来ない~! くすん」


 見ちゃってゴメンー! お詫びにあたしが結婚するからーー!

 はぎゃぎゃあ! 芽出ちゃん素早いぃぃ! 目の前に立たれたぁ!

 

「ちょぉぉ! やめぇぇ!」

 

 芽出ちゃんの目から赤い光がぁ!


 思わず目を閉じてしまった。


「くすんくすん……」


 芽出ちゃんの声に目を開けると、ペタン座りしながら顔を覆って泣いていた。


 恐る恐る自分の体に手をやるといつもの手触り。

 石化ビームは当たらなかったみたい、よかったぁ。

 

「ごめんなさい、ごめんなさい~、わたし頭に血が上るとああなっちゃうんです~」

「あ、謝るのはあたしの方だよ、見ちゃダメっていうの守らなかったから……」


 言いながら芽出ちゃんの横に行くと肩に両手を載せた。


「柔子ちゃん……」


 涙で潤んだ目と赤くなったほっぺであたしを見る芽出ちゃん。

 

 こ、こ、こ、これはお互いお詫びのキッスという流れなのでは――――!


 と思ったら急に芽出ちゃんの表情が一変した。


「ご、ごめんなさい……あの、おトイレ……」


 おのれ、おしっこ! 


 人間の生理現象に内心ブチ切れながら一階のトイレまで案内する。


「う、う~ん…………はぁ……」


 トイレのドアに耳をくっつけ、芽出ちゃんの可愛い声を漏らさず聞く。

 そして便座の下からヴィーンと出て来る水洗装置の音。


「ん~……」


 ショワーという音に合わせて漏れる甘い声。


 芽出ちゃんの秘められた場所が今清められている!

 

 そう思うだけでお腹の奥がきゅんきゅん熱くなってきた。

 ああ、自然と右手がスカートの中へ伸びちゃう。

 やばいのに! もうすぐ芽出ちゃんが出てくるのに!

 何やってるのあたし!

 ――――ん?


「ふぃ~……いしゃ! や、柔子ちゃん、何でそんな近くに立ってるんですか~、驚きましたよ~」

「お、驚かせてごめん……でも、あたしの方がもっと驚いてるっていうかぁ……」

「ど、どうしたんですか~?」


 答える代わりにパンツ半脱ぎの状態でスカートをめくり上げた。


「いっしゃ~~~! な、なにしてるんです~……ってあれ?」

「わかった? あたしのアソコ、かっちかちに石化してるんだよぉー」

「あ、ああ~~! ごめんなさい! ごめんなさい!」

「謝るのはいいから早く治してよー、これじゃ毎晩してるお楽しみが、お楽しみがぁぁぁ!」

「わ、わかりました~! で、でも解除するには……」

「わかってるよぉ、芽出ちゃんのアソコをあたしのアソコにくっつけるんでしょ、恥ずかしいのはわかるけど、このままじゃあたしぃーーー!」

「わ、わわわ、わかりました~」


 芽出ちゃんの脱いだパンツがストーンとスカートの下に落ちた。


「いしゃ~、見ちゃダメですよ~、今度は絶対見ちゃダメですからね~」

「うん、うん」


 スカートをめくり上げた芽出ちゃんが迫ってくるところで目を閉じた。

 そこへ――


「ただいま」


 え? この声父さん? 

 何で? まだ仕事中のはずでしょ?


目を開けて廊下の先にある玄関を見ると、父さんが呆気にとられた顔で立っていた。


つづく



 



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