第六十五話『願望』

 吹雪が酷い。

 吹雪く音もうるさい、窓を叩く音もうるさい。

 雷雪。

 雪だけでなく、雷までもがうるさい。

 何処かで雷が落ちた、暗闇に沈んだ部屋が一瞬照らされる。


 そんな状況で、僕は寝ていたわけだ。

 しかし、近くに落ちたのかひときわ大きな雷が鳴って。

 僕は目が覚めた。


 そしてすぐ違和感を抱いた。

 まず、ここの部屋はどこだ。

 すぐに答えは出た。モルに頼まれモルの部屋で寝ていたんだ。


 そして次の違和感、隣にモルがいない。


 雷が落ちた。


 そしてこちらも同じく答えが出た。

 モルは、僕の上に跨っている。


 息が、苦しかった。

 理由は簡単にわかった。モルの手が僕の首を絞めていた。


 不思議と抵抗する気にはなれなかった。 

 それは、僕が眠たかったからか、それとも面倒だったからか。

 それとも。

 償いか。

 逃避か。


 僕は目を閉じた。

 そのまま眠ってしまおうと。


 相変わらず、外では吹雪が吹き荒れていた。

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