第2話 

深夜0時。風間は86に乗り、国道をゆっくりと流していた。

夜間の為、交通量は非常に少なく、飛ばそうと思えば飛ばすことも出来るが、風間はいつもゆっくりとスポットへ向かう。理由はいくつかある。2025年に現れた深夜でも昼間でも雨でも嵐でも関係なく撮影を行う移動式オービスに引っかからない様にする為。法定速度を厳守する自動運転車にあわせて走行する為。飛ばして走っていると疲れる為。等、考えればいくらでも理由があるのだが、風間にとってこれらはそれ程重要では無く、実際には車に負担を掛けないようにする為と言う理由が一番である。

例えば、法定速度より10km/h速く走るとしよう。そうすると、エンジン、ミッション、デフ、ハブベアリングの回転速度は上がり、それぞれ熱が加わったり、ベアリングの摩耗が早まったりする。ショックアブソーバは法定速度で走行している時よりも圧倒的に作動回数が増え、ショック内部で無駄な圧力が掛かることになる。10km/h速い速度で走り、何かに飛び出され急ブレーキをすればブレーキパッドやローターも減るし、足回りのブッシュも無駄に仕事をさせる事となってしまう。


最も、走り屋をやっている風間の86はあちらこちらに負担が掛かっている。その為、国道のワンシーンのみで気を使っても仕方がない部分はあるのだが、それでも気を遣う程に、金が無いのである。まぁ、それもこれも走り屋のステータスのような物である。

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自動車を趣味とする人たち SSS50 @yyysus50

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