昇降機の双騎士
生崎 鈍
一章 揺籠の落ちる先
G ギャルと某
木々の間に響く軽い音。
少女の回し蹴りが
ってか蹴りが超速い。
「おらっ! 行きなさいよ!」
「無理ですなっ!」
「無理じゃないっつーのっ!」
ぽよぽよ目の前で跳ねる大きな青い水滴。
それが『スライム』と呼ばれる生物であると実生活に全く必要ではない知識で知ってはいるが、実物を見るのは
ゲームのCGだけを見て「可愛い!」とか言っていた寝ぼけた奴は腹を斬って詫びて貰いたい。
跳ねる度に、ボチャンッ‼ と水溜まりに足を落としたかのような音を上げて寄って来るスライムから逃げようと、身を
背後を見るため
「ムリムリムリムリッ⁉︎」
「いやちょっとッ!?
「だってアレちょーきもいし! きもい同士打ち消し合って!」
「最初にアレに寄ったのお主ですぞ! ってかそれなんてぷよぷよッ!?」
腹に落ちる水の音。ゲーム序盤に出てくるような雑魚敵であるとどこかで高を
妹のフィギュアを壊してしまい
……口からでよかった。
「オロロロっ、……あぁ今朝のコロッケが」
「もーいやっ! なんであーしがこんな目に合わなきゃいけないわけ⁉︎ ここどこ! アレはなに! なんで一緒なのがアンタなのよ!」
「……文句はアレに言ってくれ」
これ以上荒くれた少女からの攻撃はくらいたくないので、仕方なく吐いた
木々に引っ掛かりぶら下がっている壊れひしゃげた鉄の箱。学校に程近い駅の階段を下りるのだるいなと
もうその事実だけで脳内コンピュータは処理落ち状態である。
それを
「
「もんじゃねえし! きもいんだけど! あーしだってなんもしてねーしッ!」
「じゃあなんで奈落に落っこちたし!」
「真似すんじゃねーし! きもいし!」
「さっきから『きもい』しか言わないとか語彙力なさ過ぎですぞ!」
「はぁぁぁぁぁぁッ‼」
────じゅるり。
少女の叫びを舐め削るように目の前を通り過ぎる水の塊。少女のセーラー服の袖を舐め取り、溶かし落とした跳ねる水溜まりへと目を落として
セーラー服の奥でつるり光る傷一つない少女の陶器のように白い肌を目の端に捉えて。
「男と女でダメージがまるで違うですとッ!? いいぞもっとやれ!」
「しねッ!」
少女の拳とスライムの一撃に挟まれ
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