六、 女神
闇の奥に、その女神像は立っていた。
易経・坤卦に
しかしなおも見ていると、その内に包む
そして、その奥からひそやかに、紅唇を想起させる
しかしそれも、
純白ながら血の気の
とるに足らぬ風貌というのでは断じてなく、その中央にかがやく
珍珠貝のごとき耳も、
とはいえ、この花顔のなかで、かの
その口元は、玉の彫刻のごとき
頭上に栄える
その幻視を
腐肉につつまれた
何より忌まわしいのは、その有様になってなお、宦官の首は
「貴方様も、女神様の御姿に、とくと打たれたご様子。
私の
羨望。
その言葉に、私は知らずたじろぎ
「
なぜなら、貴方様も、ほどなくこの御慈悲に包まれるのでございますから」
くく、と笑みをもらしたがゆえか、虫食いの枯葉のごとくなっていた両頬が一気に
首をむさぼる毒舌の群は、女神のかかげる黒扇、その後ろよりうねり来ているのがわかる。
「貴方様ならば当然のごとくに承知でございましょう。
女神様こそは、私をこの邪界妖道へと招いた、かの魔書どもの語りし禁忌の真理の化身。
その闇黒の天命に招かれ踊らされ、ついにはこのように抱かれた私は、もはやその渦の一部に過ぎませぬ」
ぱん。
「
三皇にすら
先ほど自称したとおりなのか、頭蓋が崩れ落ちたあとにも、
「
矮小なる人の手によってさえ、その玉手を
渦が声とともに放つ、腐臭まとう旋風のせいか、黒扇はまこと羽ばたくがごとくに揺らぎはじめた。
「ゆえに、そのような造叛に及びかねぬ
それ故に、
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