第25話…キラキラ君はショタ属性

 キラキラ君はこんなところで何していたのかな?と思ったけど、再び『みー』という鳴き声で気が付いた。彼はしゃがみこんで猫の胴に白い布を巻き付けていたのだ。白い布がところどころ赤く汚れている。


「にゃんこ。いたい」


 うっ。キラキラ美少年のうるうる攻撃……!!


 どうやら、怪我をして弱った猫を見つけて、包帯代わりに布を巻こうとしていたみたいだけど、不器用なのか上手く巻けない様だ。結び目がゆるゆるだ。


 ……うう。どうしようかなあ。せっかくこれまで内緒にしてきたのになあ。実家じゃ家族が怪我した時だって我慢したんだけど。まあ、あの人達田舎の脳筋なんで、怪我くらい唾つけとけとかいうタイプだったけど。実際唾つけて治してたし。


「ちょっとどいてもらってもいい?」


 猫も軽い怪我だったら自分で舐めて治すけどね。この弱々しい声からすると、ちょっとヤバそうかも。まあ、ランクス王子にはバレてるし、キラキラ君はきっと黙っててくれるだろう、うん。


 私がなにをしたいのか、わかった訳では無いようだがキラキラ君は素直に私に場所を明け渡した。そっと猫に手を翳し、聖魔法を発動させる。あー、よく考えたら生き物に使ったの初めてかもしれないなあ。いつも植物にしか使ってなかったから。


「すごい」


 私の魔法レベルじゃ傷を塞ぐくらいで精一杯なんどけど、この世界には獣医って存在がないし、そもそも猫なんてそこらじゅうに居るから一匹や二匹、死のうが増えようがって感じなんで、わざわざ怪我した猫を治療しようなんて人なんて居ないしね。


「まあ、こんなもんかな。っていうか、これ以上の治療は私には無理なんで。傷口は塞いだけど、流れた血は戻せないから、あとは体力勝負かな。世話するつもりなら、暖かくして、水分とらせてあげてね。食べれそうなら栄養のあるものあげてね。わかる?」


 こくり、とキラキラ君が頷く。ぐ、ぐはあ……あ、頭撫でたい……歳は私と同年代の筈なのに、妙にショタ臭を感じるわ……恐ろしい子……


 えーと、確かゲームでは、とある伯爵令嬢が薬物による乱痴気の末に、父親が何処の誰のともわからない双子の子供を生んだ、って設定だったかな?醜聞にしかならないので生まれてすぐから幽閉されてたんだっけ?なんで殺されなかったかといえば、まあぶっちゃけストックらしい。その伯爵家は令嬢の兄が継いでたんだけど、その兄の子供…娘は魔力を持ってなかったから。貴族にとって魔力はステータスみたいなもんで、持ってる方がアドバンテージとれるらしい。将来娘が家を継いだ時のタネにしようとしていたようだ。うーむ、お貴族様怖い。


 ただ、一番の悲劇は双子が真逆の属性持ちだったことだ。顔立ちは二人そっくりなのに、兄が光、弟は闇属性だった。ストックは一人あれば、ってことで黒目黒髪の弟は気味悪がられて相当酷い虐待を受けたらしい。その結果命の危険を感じたネクラ君の魔力が暴走して伯爵家の館が倒壊、二人は助け出されたという設定だったと思う。

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