大漁大漁

マリラーシティの道路では逃げ出そうとする上流階級の馬車でごった返していた。


「何で前に進まないんだ!?」

「事故の様です!!」

「えぇい!! もう歩いて行く!!」

「うえええええええええん!!」「坊や!! 泣かないで!!」


最早混迷の状況に陥っていた。


「くっそ!! 一体何だって言うんだ!? 囚人達が暴れているのか!?」

「分かりません!!」「おい!! バリケードみたいなもん置いて有るぞ!! 皆で退かせ!!」

「バリケード!? それは一体!!」


ぼん!! と混雑している馬車の頭上で炎が炸裂した。

炎魔法の一種である。


「あー!! 逃げようとしている上流階級の紳士淑女の諸君!!

我々はキターゾファミリーだ!! 保護しに来た!!」


綺麗な凛とした声が響く。

声を発したのは"プリンセス"ベスである。

スーツに身を包んで凛とした佇まいである。


「キターゾファミリー・・・?」「マフィアが何で保護?」

「いや、 それよりも今のはエリザベス王女殿下?」「何でキターゾファミリーに?」


困惑する市民達。


「こちらの係の者が諸君らを案内する!! そのまま大人しくしていてくれたまえ!!

もしも不審な動きをする者は焼き殺す!!」


ぼん!! と再度上空で火花が飛ぶ。


「それって体の良い人質じゃないか!!」

「体の良い人質だ!!」


素直である事は美徳だがそれで全てが許されるわけではない。


「くっそぉ・・・」


悔し涙を流す上流階級たち。


「安心したまえ!! 我々は人質を丁寧に扱う!! 君達が宝石を大事に扱う様に

君達は取引材料だ!! 丁寧に扱う事を約束しよう!!」


そんな事を言われても安心できない。

画して上級階級の人々の何人かはキターゾファミリーの人質になってしまった。


「所で"プリンセス"こんな勝手な事をして良いのか?」


もこもこの服を着た"ウィザード"リックがベスに尋ねる。


「実績は全てを黙らせる、 ボスの言葉だ

こんな入れ食い状態を放って置く術はない」

「そうかい、 まぁ俺にも分け前をくれよ

あと起こられた時はお前のせいにするからな」

「厚かましいな、 分かったよ」

「しかし人質好きだなお前も」

「手っ取り早く元手が要らない商売だからな、 ジャンキーも出ないから

薬売りとかよりもこっちの方が好みだ」

「"ファーマー"が聞いたら怒りそうだな・・・」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る