キターゾの生還

キターゾ・ファミリーの"ドクター"カーマインは元々王宮お抱えの医師だったが

スナイダーの不評を買ったせいで裏社会に潜伏する事を余儀なくされた。

その為、 他の闇医者よりも遥かに力量は高かった。


とは言え半日以上ぶっ続けで治療は疲労困憊だった。


「はぁ・・・はぁ・・・」

「"ドクター"俺は助かるのか?」


治療を受けながら目を覚ましたキターゾが尋ねる。


「え、 えぇ助かります・・・処置は全て終わりました・・・」

「そうか・・・」

「で、 ですが傷跡が・・・その・・・」

「・・・・・鏡」

「えっと・・・」

「鏡を寄越せ!!」


鏡を手渡されたキターゾは腹部を写した。


「・・・くっくっく・・・"ドクター"これは傑作だな、 まるで臍だ」

「・・・・・」


ガタガタ震えるカーマイン。


「・・・・・アンタは俺の命を助けた、 だから生かしてやる」

「あ、 ありがとうございます」

「だから着替えて来い」

「は・・・?」


カーマインは自分が失禁した事に気が付いた。


「し、 失礼します!!」

「"バディ"と"マザー"も呼んで来い」

「は、 はひいいいいいいいいいいいい!!」


数分後、 サウスとカイがやって来た。


「腹部の傷跡が酷いな・・・"ドクター"を絞めるか?」

「止めときな、 あの先生は良い腕をしている、 まさに名医だ

ションベン漏らす位にはビビったしその辺にしておけ」


くっくっくと笑い合う三人。


「とりあえずダークファミリーのヤサは襲ったが

ラスト・ワンは仕留められてない、 奴はブラックヤードを襲って囚人達を脱走させた」

「なるほど・・・ダークファミリーが仕えなくなったからブラックヤードの囚人を

兵隊代わりにするつもりか・・・面白い、 ラスト・ワンに味方する奴は構わん

全員ぶっ殺せ」

「敵には勇者も居る、 そこで相談なんだが・・・」


サウスが小声で話す。


「"ファンタジスタ"を戻す事は出来ないか?」

「アイツは今堅気になっているんだ、 無茶は出来ない」

「マフィアの幹部が真面目に堅気になれると思っているのか?」

「・・・・・奴の自由意思に任せる、 無理強いはするな」

「分かった」


サウスは立ち去った。


「"マザー"暫く組織は任せる、 ラスト・ワンを叩け」

「"グラン"は?」

「とりあえずリハビリに勤めるとしよう」

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