メンタルドッグ

「久々に暴れるぜぇ!!」


大柄な男が棍棒を振り回して大暴れしている。

彼はハイエンド・ヴァンデッド、 元Aランクパーティ"宝石の剣"の戦闘員。

"宝石の剣"は不祥事が原因で解散してしまったパーティだが

彼はリーダーのカリアに従った結果、 捕まったが脱獄し

盗賊として活躍、 その後再逮捕されたと言う経緯を持つ。


「馬鹿は悩みが無さそうで羨ましいわね」


溜息を吐きながら女性がとある建物に入る。

彼女はアンダー・ドッグ。

マリラーシティの自警団のスポンサーもしている大富豪エルモンドの幼馴染の女性だが

ツンデレで素直に好意を伝えきれなくなった結果

エルモンドに想い人が出来て逆上。

その後、 カルト教団で教祖に収まりエルモンドを自分の物にする為に行動する

しかし何処で如何間違えたのか教団のメンバーがエルモンドの兄を殺し逮捕される。

カルト教団が入っていた建物に入ったのだが跡形も無かった。


「ふん・・・」


彼女は自分が知って居る隠し部屋に入ると

そこから狗の毛皮を模した服を着る。


「これで良しと、 さて如何しようかしら」

「お悩みですか?」

「!?」


アンダー・ドッグが振り返るとそこに居たのはにこやかな中年紳士だった。


「だ、 誰よアンタ!?」

「私はラフ・メイカー、 精神科医です

貴女を見ていて心配になったので付いて来ました」

「・・・・・その囚人服、 アンタもレベルマックスの囚人でしょ? 信用ならない」

「あぁ、 違うんですよ、 私がレベルマックスに入れられたのは

王の不評を買ったからなんです」

「王の不評?」

「えぇ・・・実はキング・スナイダーが自分の娘が精神を病んだ事で

私がその娘を診る事になりましてね・・・笑わない彼女の為に笑い薬を注射したら

致死量を超えてしまいまして、 それで牢屋に捕まったのです」

「要は薬で王の娘を殺したんでしょ? 擁護出来ないわよ」

「いやいや精神を病んだ理由が本当に酷い事でしてね・・・実の父が娘を・・・

あぁ悍ましい・・・」

「何それ・・・気持ち悪いわねスナイダー王は」

「でしょう? その事を隠すために裁判なしでレベルマックス行ですよ」

「御愁傷様、 でも王族殺しだから仕方ないんじゃないの?」

「笑わない奴は死んでも良いでしょう、 兎も角今は貴女の治療です」

「私の治療?」

「貴方は思い詰めた感じがします、 御話して頂けますか」

「・・・・・分かったわよ、 じゃあ私はね・・・」


話を始めるアンダー・ドッグだった。

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