3
カウントダウンが終わり、戦闘開始。
コマンダーはパッシブスキルとして相手チームが使用したスキルの発動を察知することができる。
これをもって一ノ瀬は敵のセンチネルのサーチ(LvMAX)を検知。
こちらの潜伏位置が数秒間筒抜けになった。
「さあて、それじゃあまずは一発派手にいきますかぁ!」
敵チームのコマンダーであるロイはメインウェポンのガトリング砲を構え、勢いよく乱射した。
砂や土でできた家屋はあっけなく粉砕され、倒壊。
土煙が巻き上がる中ロイはおどけたような仕草をして、わざと聞こえるような大声でこう言った。
「あれー? まさかもう終わりぃ? つまんないなぁー……なんてね。まだ生きてるんでしょ? スキルの発動確認してるよ?」
砂煙が風に運ばれた跡に3つの小さな壁が残った。
全クラス共通の初期スキル『カバーディフェンス(Lv1)』。
これは貫通不可の障壁をその場に展開する事ができるスキル。
レベルが低いため発動時間は極短い。
「タイミングは見事だったよ? でもね、スキルは一度使うとクールタイムが発生して同じスキルは連続では使用できない。つまり、あんたらが死ぬまであと3、2、1……」
カバーが消える直前、三人は一斉に走りだした。
向かって左に飛び出した鎧はライトマシンガンを乱射しながら、右に駆ける柊はDMRライフルを連射しながら。
二人にとって移動しない敵に弾を当てるのはそれほど難しい事ではなかった。
確実に弾は当たっていた。
しかし、
「んー、全然効かないんだよねー。おじさんたち装備スコアの差って理解してる? じゃ、鬱陶しいからとりあえず1キルずつ行っとこうか」
スナイパーのスーが柊を、センチネルのヒンジが鎧をサブマシンガンで実に呆気なく射殺した。
「さーて、それじゃあ残りのリーダー君はー……あらら? ステルススキルで逃げたみたいだね。仲間を見捨てて逃げ出すなんてリーダー失格だよ?」
「なあ、ロイ」
「なんだ? ヒンジ」
「変だ。二人がリスポーン地点にいない」
このゲームでは戦闘開始時の位置が初期リスポーン地点となる。
しかしロイは仲間の指摘を鼻で笑った。
「リスポーンチェンジャーを投擲したんだろうさ。復活してから3秒間はステルス付与5秒間は無敵だから見失うのも無理はない。ってかお前、やっぱり気づいてなかったか」
「気づいてないって何にだよ」
「アイツらはただの初心者じゃない。あのガタイの良さに統率された動き……きっと自衛官か消防隊員だぜ?」
「マジか⁉ そりゃあ、楽しめそうだな。で、どう痛ぶってやる?」
「そうだな……ヒンジはデカいおっさんを、スーは女の方を始末しろ。俺はネズミを追い詰めておくからよぉ」
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