第14話 スライムは俺にとってのトラウマ

旅を再開してから1週間、俺達はある凶悪な魔獣が出ると噂の森に来ていた。

もしかしたら、リュークが立ち寄っているかもしれないと考えたからだ。


「でもなんかこの辺スライムばっかじゃね?」


アーサーが不思議そうな顔で外を眺める。


俺にとってはスライムも立派な凶悪魔獣だ。

スライムは俺にとってのトラウマであり、天敵なのだ。


だって俺の体にすぐ飛びついて、スライム特有の服だけ溶かすやつしてくるから嫌い!!


それに、この森の生態系の影響なのか人型のスライムまで出てきている。

しかも俺好みのボンッ!キュッ!ボンッ!なお姉様系のやら妹系みたいな顔つきなんだよ!!(色はスライムだから青とかだけど…)


「もうスライムは嫌…スライムは…」


そんなことをつぶやいているとリリアナに服の裾を軽く引かれた。


「大丈夫?お腹痛いの?スライムは嫌いなの?」


あぁ…天使かよ…可愛い

今すぐその豊満な胸に顔を埋めたい!でも…

そんなことをすれば、アーサーに殺される…


そんなことを考えていると、ふとベリルの尻尾に目がいった。

フワフワモフモフそうな尻尾は嬉しそうにゆらゆらと左右に揺れていた。


俺は思った…

この尻尾に抱きつきたい!!!!!!!!と


「ベリル、ごめん!」


俺はベリルの尻尾にガシリとしがみついた。


「キャゥン!!!」


犬らしい鳴き声が聞こえたがあえて無視した。


想像をはるかに超えるモフモフ具合に俺は思わず顔を埋めた。


気持ちいい…ここは楽園だ…


俺はそのままベリルの尻尾枕のまま眠りに落ちた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


誰かが俺の体をユサユサとしてきて目が覚める。


揺すっていたのはアーサーだ。


「なんだよ…ふわぁ〜寝みぃ…」


「おいどうする?道の真ん中に人型のスライムがいて通れねぇんだよ。なんとかなんねぇ?」


そう言われてもなぁ…俺は魔獣使いじゃねぇし、どうにかしろと言われても無理がある。


とりあえず俺はスライムのもとまで行くため、馬車をおりた。


そこには本当に緑色の人型スライムがいた。

今までの女体のスライムではなく男のスライムだ。


「おい、なぁスライムさん!そこどいてくれねぇか?通れねぇんだよー」


ちょっと怯えながら話しかける。

すると、スライムが俺の顔を見て言う。


「み…水を…くだ…さい。」


水?

確かにスライムの体の大半は水でできている。

俺はベリル達に事情を話し、近くの湖までスライム男を運んだ。


「助かりました。ありがとう」


そのスライムの名はルプルと言った。

湖に行く途中に、馬車にひかれて動けなくなっているところを俺達が見つけたらしい。


「ルプル?だっけ、お前スライムにしては弱くねぇか?スライムは結構な回復力だろ?」


ルプルは恥ずかしそうに下を向く。


「お恥ずかしながら、僕は普通のスライムのように特殊な体液を出すことはできませんし、できるとしたらせいぜい回復薬を体の中で生成するくらいで…」


俺はその話を聞いてキュピーンとひらめいた。


「なぁルプル!お前俺達についてこいよ!」


みんなが俺を見るなり声を合わせて言った。


「「「「えーーーーーーー!!!!」」」」

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