第15話 久しぶりの相手はスライム

「どうしたんだよ…あんなにスライムに怯えてたのに…」


リリアナとアーサーがすごい心配そうな顔で俺を見る。

ベリルも耳と尻尾がたれている。


「いや、今までのスライムはこっちに「私、あなた達のこと襲います!」みたいな感じだったから…でもルプルは違うだろ?」


害を加えて来ないのなら俺は全然大丈夫だ。

流石にキング・スライムはまだちょっとトラウマだけど…


「一緒に行くと言っても、僕は何をすればいいんですか?」


ルプルが俺に問いかける。


「ルプルは体の中で薬をつくれるんだろ?これからダンジョンとかにも行きたいからさ、リリアナの回復魔法とかだけじゃ追いつかないと思うんだよ。こんな言い方したらルプルを利用するみたいな言い方だけどな」


俺は申し訳ないと思いながらも伝えた。


すると、ルプルはまるで幼い子供のように目をキラキラと輝かせ、俺の手を握った。


「僕を必要としてくれるなんて…嬉しいです!ぜひ同行させてください!」


ルプルの顔がどんどん近づいて来るのをベリルがそっと離してくれた。

危ないもうちょいでキスするところだった…


「まぁベリル達がいいならなんだけどな」


アーサー達は顔を見合わせ、そして俺を見つめて言った。


「別に、我らが王のクレオがいいなら俺達は異論なしだ。」


「皆さん、不束者ですがどうぞよろしくお願いします!」


確して俺達はルプルをメンバーに加え、旅を再開した。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


馬車を走らせて3時間ほどたったが、魔獣が一切出てこない。

森の奥に行くにつれて、いつしかスライムすら見なくなった。


「なんでこんなに静かなんだ?おかしいだろ…」


アーサーが疑問気につぶやく。


「確かに、魔獣の匂いすら薄れてきている。」


ベリルの鼻にも何も引っかからないのか…


だが、もう大分暗くなってきていた。

これ以上進むのは得策ではない。


「魔獣も出ないみたいだし、この辺りで今日は休もう。」


俺達は近くの開けた場所にテントをはり、食事の準備をする。


鍋の中で肉や山菜がグツグツと煮えている。


「うまっ!うまい!さすがクレオだな!」


子供の頃から料理は好きだったのが功をなし、みんなから高評価をもらっている。



ご飯を食べてみんな眠くなったのか、肩を寄せ合いうとうととしている。


ルプルがそっと俺の隣に座る。


「クレオさん、こんなほとんど何もできない僕を必要としてくれて、ありがとうございます。」


焚き火の炎がルプルを明るく照らし、少し透けた黄緑の肌がキラキラと光る。


「いや、別に俺が無理矢理誘ったみたいだし…」


俺が話していると、ルプルの顔が迫ってきた。


唇が重なり、ルプルとキスをしてしまった。

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