第2章 国の王子である俺が弟を探すために仲間と共にいろいろな国を旅した結果

第12話 可愛い女の子?にキュン!

ベリルと旅を始めて1週間、俺達は母国の【アルバルト】から山を4つ超えた先にある少数国【ルグミスト】に来ていた。


【ルグミスト】では、当分間の食料調達と買い取り屋に寄った。

来る途中で倒した魔獣達の肉や皮を売るためだ。


旅の資金なら俺のアイテムボックスに一生遊んで暮らせるくらいあるのだが、肉や生物は放っておくと腐ってしまうからどうせなら金に変えようということになったのだ。


ぼぉーっとしていると、目の前を小柄な女の子がすごい勢いで走って行った。


「うおっ!あっぶねーな…あの子、怪我してね?」


俺は急いでその子に話しかけた。


「ちょっと、そこの君ー!」


俺の声に反応して振り向く。

その顔が予想以上に可愛くて、キュンっとなってしまう。 


「怪我してるだろ?そのままじゃ痛いだろうし、バイキンが入ったら大変だからな!」


「あ…ありがとう、ございます…」


声は顔に似合わず少し低めのハスキーボイスだった。

女の子だよな?もしかして、男なのか?

まぁどっちでも助けるけどなぁ…


女の子?が素直に腕を差し出してきて、俺はアイテムボックストからポーションと包帯を取り出した。

そして、包帯を巻き上からポーションをかける。こうすると垂れずに効果がより強くなるのだ。


どんどん傷が癒えていき、あっという間になくなった。


「す…すごい…一瞬で…」


目をパチパチさせて驚いている女の子?。

すごく可愛らしい顔をしてるし、どこかのお嬢様なのかな?


「君どっから来たの?どこの子?お家わかる?」


優しく聞いてみると、すごい勢いで睨んできた。


「てめぇ…俺のこと女だと思ってんなら容赦しねぇぞ…あと俺はこれでも14歳だ!」


げっ…やっぱり女の子じゃねぇのかよ…

口悪いなぁ…


このショ…ごほん、男はアーサーという名前らしい。

どこの勇者だよ…


「で?何から逃げてたわけ?」


「……親父から逃げてたんだよ…あいつが妹のこと殴るから、妹隠したら追いかけられた。」


なるほどな…

なんだろう…どこの親父もクソ野郎なんじゃないかって思えてきちゃったよ。


「お前が助けてほしいと思うのなら助けてやるよ!どうする?」


アーサーは目を見開いて言った。


「なんで誰かも分んねぇ野郎のこと助けるんだよ…」


「うーん……俺が助けたいからかな!」


俺はニコッと笑って答えると、アーサーは安心したような顔で俺に、


「お願いします…妹と俺を助けてください…!」


と言った。

俺は快く引き受けた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「ひとまずベリルと合流するぞ〜」


俺はベリルのいるはずの買い取り屋へアーサーを連れ向かった。


買い取り屋の前に女性達がひとかたまりになってなにかに話しかけていた。

その中心を見ると、やっぱりベリルだよ。


獣人の受け入れが開始されてからずっとよる街よる街でこうなる。

元々獣人はどんな獣の耳や力をもっていようと全員がほぼ美形なのだ。


特にベリルのような戦闘系の力をもつ獣人はより美形で生まれてくるそうで、いま各地で獣人の取り合いが発生していると風の噂で聞いた。


「ベリル〜行くぞー!!」


「あっ!クレオ!今行くっ!」


ベリルはたくさんの女性達を謝りながら掻き分け、やっと出てきた。


「クレオを待っていたら囲まれてしまって…えへへっ」


「えへへじゃねぇよ!」


その後ベリルに事情を説明して、俺達はアーサーと妹を守るために、父親のもとへと向かった。

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