第2話 弟の心を救うには…

俺は、弟が魔王にならないよう阻止しようと覚悟を決めたはいいものの、何が原因で魔王になってしまうのかという根本的なところが分からないままだった。


別にゲームの中でクレオや両親に冷たくされたようなシーンはなかったし、クレオに関してはブラコンと呼べるほどリュークを可愛がっていたはずだ…


うーん…………


もしかしたら可愛がりすぎによるストレスでなのか?

本当はクレオのことが嫌いだったから最後に殺して喰ったのか?


愛情は時として魔王を作り出す原因になってしまうのか?


はぁ…とりあえず原因が分からない以上リュークにむやみに話しかけるのはやめておいて、慎重に調べていこう。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


それから数日間、俺はリュークと話すことを避けまくっていた。

もし、話の中でリュークを刺激しすぎると自分が痛い目にあうからだ。


ふと庭を見る。

そこにはリュークがしたを向いて少し悲しそうな表情を浮かべていた。


いつも剣の稽古をしているときのようにキラキラとしたピンク色の目もどんよりと暗い色になり、キラキラと美しいピンク色の髪もくすんで見えてしまった。


流石に無視するのはまずかったかな?

俺は少しリュークと話すことを決めた。


その時だ、後ろからいきなり口を塞がれた。

何事かと思うと、すぐに首のあたりを殴られ俺は気絶してしまった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


pov〜リューク〜


最近、なぜか兄様に避けられている。


兄様が怪我をする前まではなんでも一緒にやっていた。

ご飯も遊びも、お風呂だって一緒だった。


なのにいきなりどうして…


そんなことを庭でうつむきながら思っていると、兄様の魔力が近づいてくるのが分かった。


「兄様?…兄様!」


頑張って笑顔をつくって顔をあげると、兄様の魔力はその場から消え失せ、その代わり結構な距離にあるはずのドロドロとした嫌な魔力が庭中を包んでいた。


なにか、兄様に関係があるのかな?

嫌な予感がする。



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