第18話 抱き枕

 俺は立ったまま太陽に抱き締められている。


『太陽?』


『…』


 部屋に入った瞬間に抱き締められて今にいたっている!!俺はどうしたらいいんだ?強く抱き締められているいるから動く事が出来ないでいる。


『ふぅ…』


 とりあえず、太陽が落ち着くのを待つか…俺は力を抜いて太陽の方へ体重を預けた。


『燐…』


 首に太陽が顔を埋めてきた!!髪の毛が首に当たってこそばゆいし、匂いを嗅ぐのはやめろよーー!スリスリってマーキングか??今は我慢だ我慢。


『ふっ…くすぐったい~!!』


 数分は我慢出来た!!でも、耳をペロペロされたのは我慢出来なかった。


『やめ…』


 逃げようとするが抱き締められているから逃げられなかった。


『逃げたら駄目だよ!燐が今日はいなかったからさびしかった…』


 さっきまではヤンデレみたいだったのが忠犬に見えるぞ!!犬の耳と尻尾が見えた気がした。


 なんだよ…そんな顔をして俺は許さないぞ!さっきは理不尽に怒られた?キレられたからな!!俺は自分の気持ちを吐き出した。


『どうせ、副班長達と楽しそうに会話しただろ?俺はいなくても同じじゃないのかーー!』


『えっ??』


 俺が本音を言ったら太陽が顔を赤くした…耳まで真っ赤にして輝かんばかりの笑顔をした。


『俺は怒ってるんだぞ!!』


 俺が怒っているのに笑ってる…太陽はMなのか??SかMで言ったら太陽はSだと思っていた。


『だって燐がヤキモチ焼いてるから顔がにやけるよ…』


 さっきまでの怒りは鎮火したのか??めっちゃ頭ナデナデしてくるし、チュチュしてくるんだけどーー!空気もガラリと変わりピンク色になっている。


『はっ??ヤキモチ…』


 俺は副班長にヤキモチを焼いていたのか??言われたら確かにそうかも知れない…太陽が副班長と話しているのを見たらイライラしたし、匂いが移ったのも納得がいかなかった。


『そうかも?…』


 つまり、俺はヤキモチを焼いて今日はずる休みをしたって事なのか??理解をすると恥ずかしくなった。


 まるで小学生みたいじゃないかーー!恥ずかしくて顔を隠そうとするが隠せない…俺の顔は真っ赤になっていると思う。


『可愛い💕真っ赤なリンゴだね?』


 手を顎に置かれて上を向かせられた…。


 女子高校生がキャーとか叫ぶ顎くいってやつ??実際にやられると恥ずかしいぞ!!俺は太陽の腕の中から出るためにもがいた。


『俺は可愛くないもんーー!』


 太陽の腕の中でバタバタと暴れるが対格差のせいか全く逃げられなかった。


『すぐ逃げようとするね?食べちゃうよ??』


『何を??』


『燐だよ??』


『ギャーー!俺は食べても美味しくないぞ!』


 太陽は人を食べるのか?グールなのか??俺は食べても美味しくないぞ!!食べるために今ま餌付けして食べ頃を待っていたんだ…。


『はぁ…可愛い💕』


『食べないで??』


『そんな顔で言っても説得力ないよ?』


『へっ??』


 そんな顔って何?別に普通じゃないのか??鏡がないからわからないよーー!少し顔が赤いかも知れないが俺は普通の顔のつもりだった。


『わかっていないね…』


『別に普通の顔だもん!!』


 何かあるたびにそんな顔って言うけど俺の顔は普通だ。


『うるうるの瞳に火照った顔…俺を煽っているの?小悪魔ちゃん??』


『何が小悪魔だよー!』


『もう…そんな口は塞いじゃうからね??』


『えっ??』


 俺は気づいたらベッドに押し倒されていた。


『燐~💕』


 いつものキラキラオーラがセクシーオーラ?になっている!!なんて、刺激の強さなんだ。


 軽いキスが顔中に雨のように落とされてい行く。


『ひぇや…』


 くすぐったいよーー!俺から変な声が出た!!ギャー恥ずかしい…逃げようと挑戦するが体重をかけられているから逃げられなかった。


『ふふ…今日は俺の家にお泊まりだからイチャイチャしようね??』


『ふえ??』


 意味がわからないよーー!イチャイチャ…俺は大人の階段を上るのか??もう心臓がドキドキして目眩がした。


『燐には刺激が強いかな??』


『強すぎる…』


 マジで強すぎるよ!!やっと前にファーストキスをして…一気に大人の階段を上るのか??俺には知識が無さすぎて無理だ。


 男同士のセッ…ク……えっーと交尾はあそこでするんだろ??それぐらいしか俺は知らない…。


『しょうがないから添い寝からなれようね?昨日は心配で寝れなかったから…燐には抱き枕の役割をしてもらうからね??もちろん、拒否権はないからね!!』


『わかった…』


 今回は俺も悪かった事もあるし…それぐらいならいいかとベッドから一度起き上がった。


『逃げたら駄目だよ??』


『制服ぐらい脱がないとシワになるだろ??』


 急につれられて来たから俺は制服のままだ!!太陽はポロシャツにジャージみたいな服装だから寝れると思うが俺は制服だからそのまま寝たらYシャツがしわくちゃになって大変だ。


『あっ!!』


 俺がせめてベルトを緩めたり、ネクタイをはずそうとしていると急に太陽は叫んでガサガサとクローゼットの中を探し始めた。


『あったー!これ着て!!』


 渡されたのは…猫耳がついたパジャマだった。


『……』


 太陽はそんな趣味があったのか?普段はこれを着ているのか??サイズは太陽のサイズだし他の人は着ないと思った。


『あぁ…』


 制服よりはマシだと着ると…やっぱりサイズは太陽のだから手は萌え袖になるしスボンはなくても良さそうだった。


『可愛い💕』


 問答無用だと抱き締められて布団をかけられた!!電気はリモンコンで小さな電気だけにされた。


『よく眠れそうだ…』


 後ろから抱き締められる形で足はからめられるし…首もとに頭があるからくすぐったかった。


『そうか…』


 俺は全然眠れそうにない!!なんだこの体勢は?心臓がドキドキして眠れそうになかった。


 布団に入って5分ぐらいすると後ろからスースーと規則正しい寝息が聞こえてくる…背中にはトクントクンと心臓の音が伝わり眠くなかったはずなのに俺はいつの間に眠っていた。


 太陽の腕の中はポカポカしていて…とても気持いいから朝までぐっすり眠るのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る