第17話 理不尽
『ふぅ…平常心だぞ俺』
親に学校をずる休みしたのがばれていないか?いつも通りの俺でいいんだぞ…俺はじぶんに暗示をかけて玄関を開けた。
『ただいまーー!』
いつもの声のトーンを意識したら少し大きな声になった!!緊張しずきだよ~!リラックスだぞリラックスって思いながら顔を上げる。
『おかえり』
『えっ??』
俺が家に帰ってきて玄関のドアを開けるとそこには親ではなく太陽がいた。
家を間違えたかな?咄嗟にドアを閉めて表札を確認したが俺の家だ。
『どういう事?なんで太陽が俺の家にいるんだ??』
頭の中は???がいっぱいで意味がわからなかった。
『うーん?怒りに来たとか?俺が逃げたから…』
外で考えていると太陽が俺の家から出てきた。
『燐?おかえり』
『ただいま…』
俺が返事をすると頭をポンポンした!!でも、恋人になってからしているチュチュはなかった。
太陽怒ってる??普通に笑ってるけどめっちゃ怖い…これはまじで怒っている。
『俺が怒ってるのわかってるよね?』
いつもなら腕を組んで俺を見ることはないが太陽は腕を組んで俺を見ている。
『うん…』
『じゃあ俺の家に行こうか』
いつもは優しいのに強引に手を掴んで太陽の家へと向かおうとした!強引さからして俺に拒否権はないようだ。
『ちょっと待ってよ!お母さんに言わないと…』
それでも俺は抗った!だって急なんだよ!!心の準備をさせてくれ~俺は勇気を出して言った。
『大丈夫だよ?今日は俺の家に泊まるって伝えてあるからね』
『えっ?』
なんて計画性が高いんだ!言い訳を言って少しでも時間をかせごうとしたのに逃げ口は塞がれてしまった。
『もういい?抵抗するならお姫様抱っこで俺の家へいくよ??』
『はい…』
俺の腕を引っ張って太陽の家へと向かった。
超気まずい…太陽への家まですぐの距離なのに今日はとても遠く感じた。
家につくと鞄から太陽は鍵を出して開けた。
『さぁ、入って!』
『あぁ…』
怖いよーー!いつもはルンルンと軽い足取りで入るのに今日は足が重たくて全然前に進まなかった。
『お邪魔します…』
ゆっくり入ると後ろで鍵を閉めた音が聞こえた。
『靴を脱いで』
『うん…』
もう、逃げる事が出来ない…太陽の顔を見るのが怖くて俺は下を向いた。
『俺の部屋に行くよ…』
『…』
本当に怒ってる…いつもならニコニコしてるのに顔が笑っていない!!目もギランとして肉食動物が獲物を捕獲する目をしていた。
太陽の部屋に行くため階段をのぼる…。
『ん?…』
階段を上っている時に思った。
てか、俺が怒られるのおかしくないか??そもそも太陽が副班長の香水が移るまでの距離にいたのが悪いんだ!!俺が怒られるのは理不尽じゃないのか??それに、腕を組まれていたのも避けたりすればいいのに断っていなかった。
『俺も怒っていいんじゃないか…』
『何か言った??』
やば!!心の声が漏れていたみたいだ。
『別に…』
重い足取りで階段を上っていたのに考えていたら階段なんてあっという間だった。
『入って…』
ここまで来たらもう入るしかないよな??俺は覚悟を決めて太陽の部屋に入るのだった。
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