第16話 ずる休み

『はぁ…憂鬱だーー!』


 昨日は太陽にケンカ?酷い事を言って1人で帰ってきてしまった。


『別に俺は悪くいないもん!!』


 太陽が香水の匂いをつけているのが悪いんだ!!それに、追いかけてもくれなかった。


『あの後は副班長の女子と話し合いをしたのかな?別に俺には関係ないし…』


 なんで、俺がこんな思いをしないといけないんだよーー!また、学校に行ったら昨日と同じになるのかな…?そう思うと学校に行きたくなかった。


『学校を休みたいなぁ…』


 でも、行かないと行けないよな…とりあえず制服に着替えてご飯を食べた。


 鞄を持って玄関を出る…太陽はいないよな?めっちゃ早い時間に出てるしとにかく今は会いたくなかった。


 鞄を自転車に入れ学校に向かうのであった。






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『はぁ…何してるんだろう?学校に向っていたのになぁ??』


 俺は気づいたら公園のブランコに座っていた。


『学校はどうしよう…とりあえず学校には電話しておこうかな?しないとヤバイよな』


 俺はスマホを鞄から出して電源を入れるとピコンピコンと通知の音が鳴った。


『誰だよーー!俺はイライラしてるんだよ』


 小学生から大人まで皆が入れているラ◯ンを開くと太陽からメッセージと電話が大量にきていた。


『今ごろなんだよ!』


 俺は太陽からのメッセージを見ないでブロックした。


『はぁ…本当に何してるんだろう?』


 ケンカ?したなら謝ればいいのに意地を張ってしまった。


『とりあえず学校に電話しないとな…』


 学校に電話するとすぐに事務の人が電話に出た。


『はい!◯◯学校です』


『あっ!もしもし1年A組…』


 今日は欠席すると伝えるとお大事に言われて学校への電話は終わった。


 結構休むのは簡単なんだなぁ…今までずる休みはしたことがなく初めての事だった。


『本当に学校を休んでしまった…』


 俺は何かあったら嫌だとスマホの電源を切って鞄の中にしまった。


『今はスマホをみたくない!!いつもどおりの時間に家に帰ればいいよな?今までずる休みなんてした事ないしたまにはいいよな…』


 ユラユラとブランコに揺られていてると小さな子供達の声が聞こえた。


『私ね◯◯君の事が好きなの』


『僕もね◯◯ちゃんの事が好きだよ~!』


『大人になったら結婚しようね?』


『うん!しようね』


 あれは俺達が通ってた幼稚園の服だなぁ…俺と太陽も昔そんな誓いをした。


 今見ると子供達の可愛い約束に過ぎないんだろうと自分で心の傷をえぐった。


 恋人になったが結婚なんて無理だよな?男同士なのに認められるわけないと現実をつきつきられた感じがした。


『はぁ…』


 ため息しか出ないなぁ…公園には子供達が集まりはじめてこのまま公園にいても浮くし違う所に行こうと自転車にまたがった。


『う~ん…どこに行こうかな?』


 自転車をまたいだが行く場所なんてない…公園は駄目だったし家は親がいるだろ?駅にあるカラオケに行こうかなと自転車をこいだ。


『あっ!』


 よく考えるとカラオケは無理だよな?早い時間だし制服だから入れないと思った。


『カラオケいいと思ったのになぁ…』


 どうしようかな?本当に行く場所がない…まだ時間は午前だし駅に行けば周りから浮くしどこかいい場所はないか考えた。


『あっ!あそこならいいかな?』


 俺は昔からよく行く場所へと向かうのであった。






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『ふぅ…着いた!!』


 俺が来た場所は坂の上にある人気のない公園だ。


『景色は綺麗なのになぁ~』


 近所の人が知る隠れた絶景スポットで小さい頃はよくここにきては小学校の宿題や自由研究の材料集めなどをした思い出の場所だった。


 自転車を止めてベンチに座った。


『疲れたなぁ…喉も乾いたしお腹も空いたなぁ』


 1人で落ち着ける場所をゲットするとほっとしてお腹が空いてきた。


 俺は鞄の中から弁当と水筒を出してご飯を食べた。


 いつもは太陽と屋上で食べるが今日はずる休みをしたから1人でご飯を食べている。


 1人で食べるご飯はいつもと変わらない味なのに虚しくていつもより不味く感じた。


『太陽が作る甘い卵焼き食べたいな…』


 腹は膨れたが心の中は空っぽだ…。


『さびしいなぁ…』


 気づくと俺の頬から涙が流れていた…制服の袖で涙を拭くが涙は留まらなかった。


 鞄からタオルを出して顔を覆った…誰にも涙を見られたくなかった。


『涙止まれよ!』


 自分に言い聞かせても涙は止まらず気づいたらタオルを抱き締めて寝ていた。


『はっ!寝ていたのか??』


 気付くと外は薄暗くなっていて街灯の明かりがついていた。


『何時間ねたんだ?』


 公園にある時計を見ると17時だった!寝たらなんか気持ちがすっきりした。


『帰らないとな…』


 俺はタオルを鞄にしまって自転車に乗った。


『とりあえず家に帰らないと行けないよな!』


 自分を元気づけて家に帰るのであった。

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