第15話 嬉しい気持ちから地獄へ
高校を入学してから少したったある日。
『皆さんが楽しみにしてた校外学習の話があります~♪もちろん、グループは先生が考えたので確認して自分の席に戻ってください!!』
『まじか!!先生が決めるのかよ~』
『楽しみだね~!同じグループかな?』
『めんどくさいなぁ…』
生徒の反応は良かったり…悪かったりとそれぞれ別れたがグループを確認するため黒板を見に行った。
俺も他の人と同じようにグループを確認するため黒板に貼ってある紙を見に行った。
『どうせ太陽とは違うグループなんだろうなぁ…』
こういう行事のグループってだいたいが知らない人と組まされる!!まぁ、親睦を深めるための行事だからしょうがないと思うが太陽と一緒ならいいなぁと思った。
『えっーと…どこだ??』
前にはまだ見ていると人がいてよく見えない…俺の身長は160cmと男子にしては低め??で前には165cmの体格のいい女子がいてほとんど見えなかった。
『ふぅ…少し待つか』
前の人がいなくなるのを待っていると太陽が後ろから声を掛けてきた。
『燐と俺は同じグループだね!』
『えっ?一緒なのか??』
『うん!2班みたいだね』
『マジか!嬉しい…』
『俺も嬉しいよ』
太陽は俺の頭をポンポンすると自分の席に戻った。
『一緒じゃないと思っていたのになぁ~』
先生が決めたグループって言うから仲のいい人とは組めないだろうと思っていたから超嬉しい!
俺はルンルンと自分の席に戻った。
『高校に入って最初の行事が太陽と一緒だとか超ラッキーだなぁ~♪』
嬉しくてニコニコしてしまう…だって嬉しいだもん~♪何回も俺は嬉しいって言ってた。
こんなに嬉しいと今なら苦手な事だって出来る気がした。
ちなみに俺が苦手な事は裁縫とか家庭科が苦手だ…どんなに練習しても親や太陽には包丁を持たせて貰えないのだ!!いつまでも子供扱いされてる気がした。
『皆さんグループを確認して自分の席に戻りましたね?今回の校外学習はキャンプ場でカレー作りと飯ごう炊飯をします~♪デザートにはアイスクリームも作りますからね!ちなみに私たち職員も皆さんのを食べますので美味しいものを作ってくださいね♪』
『えー!』
『料理とかめんどー!』
『頑張ろうね~!』
生徒からは驚きの声とめんどいとか楽しみなど…様々な声が出た。
『そんなこと言わず頑張りましょうね~』
『はーい』
まじか…!!さっきまで嬉しかったのに気分はドンドン落ち込んでいった。
『まさか、料理をするなんて思いしなかったーー!飯ごう炊飯って事はご飯を炊くんだよなぁ?しかも、カレーって事は包丁使う??絶対に使うよな!!俺は何をしたらいいんだ…』
俺は家庭科が苦手だーー!!つまり、俺の出番はない…やれるとしてもピーラーを使って皮を剥く、米を研ぐ、ご飯の見張り番ぐらいか?米の見張り番なんて特に大切な仕事ではないかと思った。
『ヤバイ…』
まじでヤバイ…グループは俺と太陽!そして、女子が2人と合わせて計4人だ。
つまり…俺が何も出来なくて突っ立ていたら、太陽と女子2人で楽しく調理をするのだろうか?考えるだけでも嫌だ。
『それではグループに別れて班長と副班長を決めてくださいね~♪それと、決まったら報告に来てね!!』
グループで集まると話し合いが始まった。
『班長は太陽君でいいよね~💕』
『賛成~!!太陽君はどうかな?』
『いいよ!でも…』
太陽が続けて何か言おうとするが、女子の声にかき消された。
『やったー!じゃあ班長は太陽君ね💕』
グループの女子は静かなタイプではなくキャピキャピタイプの女子で俺をおいて話をどんどん進めていく。
『それで、副班長は私でいいよね?男子と女子の1人ずついた方がいいよね??』
『賛成~!その方がいいよ~♪』
もう1人の女子が賛成した。
俺は何にも言っていないが…仲間外れにされてる気がした。
『それじゃあ先生に報告に行こ!太陽君💕』
『あぁ…』
副班長になった女子は太陽の腕に自分の腕を絡ませて先生の方に行った。
さっき小言で女子が話していたが、副班長の女子は太陽の事が好きらしい…俺の彼氏!!恋人なのにと思うが俺は言えなかった。
ようやくグループで話し合いが終ると放課後になった…俺は仲間外れにされてたからただ女子達の話をひたすら聞くだけだった。
『はぁ…校外学習行きたくないなぁ』
俺は皆が帰りの準備をするなかで自分の席で心の声をぽつりと呟いた。
すると、先生に追加で報告をしに行った…太陽と副班長の女子が戻ってきた。
『ごめんね、お待たせ!』
『あっ!太陽君待ってよ~💕』
太陽が俺の所に来た!俺はこっちに来てくれた事で嬉しくて顔をあげた。
しかし、太陽は女子の香水の匂いをつけてきた…さっき腕を組んでいたから匂いがついたのかな?俺はそんなに密着していた事にイラついて素っ気ない態度をしてしまった。
『別に待ってないしー!副班長と一緒に帰ったら?俺は邪魔みたいだし先に帰る!!』
俺は机の中にある教科書とファイルを鞄に入れて教室の出口に向かった。
『あっ!燐まって!!』
俺を追いかけようとしていたが女子に腕を捕まれていた。
『太陽君~💕まだ決めることあるから残ろうよ!!』
『それは…明日でもいいんじゃないかな?』
『でも早く決めた方が良いって先生が言ってたよ?だから残ろう?』
俺はそんな会話を聞きながら教室を出て自転車にまたがった。
『なんだよ!くそーーー!』
こんなんなら一緒のグループにならなきゃよかったのに!!そうしたらこんな嫌な思いしなくてもよかった。
『明日からどうしたらいいんだ?あの女子が太陽にへばりついているのを見なきゃいけないのかよ!!』
俺は愚痴りながら自転車をこいで家に帰った。
『太陽なんてしるかよ!!俺の事を追いかけてもこなかった…』
俺は風呂に入りながら太陽の事を愚痴りに愚痴った。
こんなことで嫌な思いなんて消えるはずもないく…さらに、嫌悪感に苛まれるとしっているのに俺は愚痴っていた。
俺の口は太陽の事を悪く言うのに…心は正直なようで涙が溢れてお風呂の湯船に落ちていった。
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