番外編 ハロウィン【後編】

 ピンポーン!チャイムを鳴らすとすぐに太陽が出てきた。


『いらっしゃい!待ってたよ燐💕』


『ケーキ買ってきたぞ!』


 俺は太陽にケーキを渡した。


『ありがとう、さぁ中に入ってね』


『お邪魔します~』


『ケーキはご飯の後に食べるから冷蔵庫にしまってくるよ!燐は手を洗ってきな』


『了解~』


 手を洗いに洗面所に向かった。


 手を洗い終わってリビングに戻ると太陽はいなかった…机の上にもご飯とかはないけど??これから準備するのか??太陽はどこにいった。


 ガチャ…太陽は戻ってきた!!俺は振り向いた。


『えっーーーー!』


 戻ってきた太陽はヴァンパイアの仮装?コスプレをしていた!!しかも、牙もつけていた。


『どうかな?似合う??』


『う……ん』


 めっちゃ似合ってる!!!身長が高くて細いからまるでファッション紙とかに載っているモデルかと思った。


『あっ!俺…仮装の服持ってきてないぞ?』


 やっぱり仮装の服必要だったか…買ってこればよかったのになぁ!!俺は後悔した。


『大丈夫だよ!!燐のは俺が用意したからね』


『本当?』


『とっておきの用意したから燐も気に入ると思うよ💕』


 太陽は俺を励ますように頭を撫でた!!そして、仮装の衣装が入ってる紙袋を俺に渡した。


『俺の部屋で着替えておいで』


『うん、服ありがとうなぁ!!』


 俺は太陽の部屋に行き着替えるのだった。






 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇






 俺は現在…太陽の部屋にいる。


 なんでいるかって??それはハロウィンの仮装をするためだ!!しかし、これを着ないといけないのか??太陽が用意したとっておきの服とは黒猫の衣装だった。


 しかも、着ぐるみなのはいいが…首輪に鈴もついているのだー!!太陽が吸血鬼のコスプレをしているからてっきり俺もカッコいい衣装だと思っていた。


 なのに!!俺に用意された服は黒猫だった…。


『着ないといけないのか??』


 悩んでると部屋がノックされた。


『はーい』


『燐は着替えられた??無理そうなら手伝うよ』


『1人で着れるよ!!もうすぐ着替え終わる』


『無理ならいって!手伝うから💕』


『平気だ!!!絶対に入ってくるなよ』


 これは着替えるしかないな…早く着替えないと太陽が入ってくる!!俺は黒猫の衣装に袖を通した。


『これでいいのか??』


 着替えたがなんともいえない…高校生男子に黒猫の仮装?しかも首輪つき!!赤い紐に黄色い鈴の首輪で俺が動くたびにチリンチリンって音がなる。


 コンコンとノックされた。


『着替え終わった?中に入るよ』


『ちょっと……』


 部屋に入ってくるの早くないか??まるで着替えを見てて、終わったったから早速見にきたようだ。


『待て!!』


 俺が待てという前に入ってきてしまった。


 まだ心の準備が出来てないんだよ…もう少し待ってくれてもいいんだろ。


『可愛い💕』


 太陽は俺の頭をナデナデした後にチュチュとおでこにキスをした。


 甘い!甘いぞ~!!恋人になってからは頭ナデナデにチュチュが追加された。


 しかも、毎回なんだ!!学校では恥ずかしいから拒否しているが、2人きりの場所や人が見えないところではいつもこんな感じだ。


『ご飯の準備出来たから食べよう?燐が買ってきたケーキも楽しみだね!!』


『うん』


 俺たちは太陽の部屋から出てリビングに戻ってきた。


『美味しそう!!』


 さっききたときは何もなかったのにテーブルの上にはご馳走ちそうがあった。


『それじゃあ座って💕』


『えっ?どこに…』


 椅子は1脚しかないがどこに座るんだ??俺は他に椅子があるのか探した。


『ここだよ!俺の膝💕』


 太陽が指で示して座ってと言ったのは…太陽の膝だった。


『俺は床でもいいよ?』


 無理だ!!膝だっこなんて恥ずかしい…せめて床にしてくれ。


『駄目だよ!』


 俺が拒否すると脇の下に手を入れられ強引に膝だっこされた!!しかも、向かい合わせなんて無理だ。


『うん!これでいいね』


『よくない…』


 胸に顔を埋めて手でポカポカと太陽を叩いた。


『なんで?』


『恥ずかしい…からに決まっているだろ!!』


『誰も見てないから平気だよ?』


 誰も見てなくてもお前が見てるだろ!!なんだその色気たっぷりのスマイルにこの手はなんだ。


 俺の背中はまるで離さないぞと太陽の手がしっかりと回ってる!!まるで捕まってる感じがした。


 俺はふいと横をむいた。


『すねてる燐も可愛い💕』


 また、頭ナデナデにおでこチュチュをされた。


『別に可愛くないし…』


『ほら、機嫌直して?』


 俺の口元にスプーンを押し当てられた…そんなんで俺の機嫌はよくならないからな!!鼻からフワァ~と好物のチーズの匂いがした。


『燐が好きなグラタンだよ??』


『グラタン…!!』


 さっきの意地はどうしたんやら…俺は前をむいた。


『ほら?あ~ん💕』


『しょうがないから食べてやる!!』


 俺は口を開けてグラタンを食べた。


『俺が作ったんだけど美味しいかな?』


『まぁまぁだな!』


 俺は嘘をついた…本当はめっちゃくちゃ美味しい!!俺が好きなほうれん草とベーコンのグラタンだ!!しかも、チーズはこんがりになっていてとても美味しかった。


『素直じゃないところも可愛い💕でもあんまり素直じゃないとお仕置きするからね?』


『えっ??』


 お仕置き??嫌だーーー!夢みたいな事をされたら俺は腰砕けになる。


 俺が夢の事を1人で思い出して顔を赤くしていると…太陽はスプーンをテーブルに置いて俺の頬を撫でた。


『こんな風にね?』


『えっ……』


 気づいたら目の前には太陽の綺麗な髪の毛が見えた??そして、首には牙が当たった。


『ひゃん…』


 突然の事に俺は驚いた。


 くすぐったい!!牙があたると少し痛いが首をチュチュされるのはこそばゆかった。


『今日はキスマークで許してあげる』


 そう言って太陽は俺の首にキスマークを喉仏と鎖骨に計2個つけた。


 キスマークをつけると満足したのか、スプーンを持って俺の口にグラタンやパンプキンスープなど口に入れた。


 お仕置きでキスマーク!!最近…太陽の独占欲が強くなったような気がする。


 前に◯◯先生でキスマークの意味を調べたら首は独占・求愛とか色々出てきた…ちょうどYシャツで隠れそうで隠れない場所につける太陽は器用だと思った。


『まだ、ケーキもあるからね?俺が食べさせてあげるから💕』


『1人で食べれるから下ろせ!!』


『駄目だよ!せっかくのハロウィンパーティーなんだから俺におもてなしをさせてね』


『嫌だーーー!俺は下りるんだ』


 そんな攻防戦は太陽の勝ちで終わり…デザートまでしっかりと食べさせられた。


 ハロウィンパーティーってこんなイチャイチャするものなのか??とにかく太陽が甘すぎる…砂糖…?いや蜂蜜みたいに甘々だった。


 ハロウィンパーティーはまたまだ終わりそうにない…これからどんな事をするのやら!早く終われと思う一方でこんな日もあってもいいなぁと思う俺だった。


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