第10話 好きじゃなくて…

『実は俺さ…』


『お前の事が好きなんだ』


 俺は勇気をふりしぼって告白をした。下を向いたままなのは許して欲しい…だって、顔を見るのは恥ずかしいんだ。


『燐…』


 太陽が俺の名前を呼んだ。


 やっぱりダメなのか?俺の恋は終わりなのかな…泣いちゃダメだ!!泣くなら1人の場所に行かないと太陽ときまづくなる。


 告白したら友人に戻れるわけないよなぁ…太陽からの返事が貰えなかったからドンドン暗い思考になっていった。


『燐…』


 もう1度太陽に名前を呼ばれた。


『なんだよ…ふるならささっとふれよ』


『違うよ顔をあげて?』


 太陽の両手が頬に添えられた…。


 なんだよ…ふるのに顔をみたいとか太陽はおかしいんじゃないか?俺はしぶしぶ顔をあげた。


『俺は燐の事を好きじゃない…』


『やっぱりそうか…俺はふられたのか』


 わかっていた答えだが直接聞いたら涙が出てきた…俺の恋はなんだったんだよ!!顔をあげてとか言うから少しは期待したんたぞ…このバカ太陽。


『最後まで聞いて燐!』


『最後までってなんだよ?俺はふられたんだろ?』


 俺は太陽の顔を睨み付けた。


『俺は好きじゃなくて愛してるんだ💕』


『えっ????』


『あいしてる??』


 俺の頭はついていきてない…好きじゃなくてあいしてる?好きよりもっと上??てか告白の答えはOKって事になるのか…。


 理解出来たら顔が赤くなっていく…俺の頭から湯気が出ていないか??ヤバイ恥ずかしくてここから逃げたい!!体はさっきのままだから壁ドン状態で腕に囲われている。


『燐?顔が真っ赤だよ』


『だって…恥ずかしぃ』


『燐は可愛いね💕もう避けないでね?』


 太陽は俺の頭にチュチュしてくる…涙の痕を見つけて目元もチュチュしてきた。


『うん…』


 太陽さん??ちょいと甘すぎませんか?俺には刺激が強すぎだ。


『燐💕大丈夫??』


『全然大丈夫じゃない…離せ~!!!』


 急にこの距離は近すぎる…乙女と言われるかもしれないがまずは手を繋ぐところからお願いしたい。


『嫌だ!!離したら燐が逃げる』


 太陽はさらにギューッと抱き締めてきた。


『逃げないよー!』


 太陽の腕をバンバンしても力はゆるまない…こういう時に体格差をかなり感じるのだ。


『もう絶対に何があっても俺の事を避けないって約束するなら離してあげるよ?結構傷ついたんだから』


『それはごめん…もう避けないって約束するよ』


 約束すると安心したようで抱き締める力がゆるんだ。


『今度逃げたら…俺から離れられないようにするからね?もちろんお仕置きもするからね』


『えっ…お仕置き??』


 お仕置き…夢で見てたのが現実になるのか??俺の心臓は持たなくなりそうだ。


『さっきより真っ赤になってるよ?お仕置をして欲しいの??』


『そんなんじゃないよ!!!』


『だってさっきより顔が赤いし目がうるうるしてるよ』


『それは前の夢がエロ…!』


 俺は口をふさいだ…ヤバイ!!何を言おうとしているんだ!!どうしよう。


『燐はエロい夢を見たの?』


 太陽が耳に囁いてきた。


 俺が耳を弱いのを知っててやってるなぁ…俺はこれ以上は言わないぞ~!!意地でも言わないぞと太陽を睨み付けた。


『まぁ今回は許してあげるよ』


 太陽は俺に笑顔を見せた…何かへんな事を考えていないかなぁ?まぁ、とりあえず逃げられたからいいかな。


『ふぅ…』


 ほっとしたらため息が出た。


『これでね?』


『えっ?』


 気づいたら首にキスマークをつけられた…しかも、ジャージじゃないと隠れない場所だ。


『今日はジャージ持ってきてないのに…』


 これから体育があるのにどうしてくれる!!ロッカーに鏡がついてるから確認したらくっきりと痕が見えた。


『俺の着たらいいよ!これで少しは邪魔な物が消えるよ…』


 太陽が自分のジャージを俺に着せてきた…もちろん、サイズが違うからブカブカだ!!後半は何を言ったか聞こえなかったが、聞かない方がいい内容だと感じた。


『次は体育だから行こうか?』


『お前はまだ着替えてないんだろ?』


 鏡を見るのをやめて後ろをふりふくと太陽は体操服にもう着替えていた。


『もう着替えているよ!さぁ行こうか?』


『あぁ…』


 いつの間に着替えたんだ?俺は全然気づかなかったぞ!!てか授業始まるじゃないか~急がないといけない。


『もう時間じゃないか…急がないと!!』


『それなら平気だよ?俺が抱っこして走ればすぐたよ?』


『えっ?』


 気づいたら太陽にお姫さま抱っこされた…どんなだけ手際がいいんだ。


『捕まらないと落ちるよ?』


 落ちるのは嫌だ!!俺はあっさりと首にすがりついた。


『さぁ急ごうね?』


 今はロッカー室で体育館までは5分かかるのに太陽は俺をお姫さま抱っこして3分でついてしまった。


 体育館に入るとチャイムがなった。


『お前ら体育館の中心に座れよ~出席確認するぞ』


 体育館に入ると下ろされた…早すぎてぼっーとしていると手を引かれて体育館の中心に座らせられた。


 なんて運動神経がいいんだ!!いやよすぎるだろ??俺は突っ込みを入れるのであった。


 今日の俺は驚きすぎじゃないか??俺の頭は半日で天国から地獄へと行ったりきたりでもうへとへとだ。


『後でご褒美ちょうだいね?』


 もう頭はヘトヘトなのに太陽はさらに俺の頭に爆弾を落としていく…もうやめてくれ~。


『ご褒美?』


『キスでいいよ!唇ね』


 なんとハードルが高い…しかも唇?俺は太陽の唇を見つめるのであった。

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