第9話 動き始めた恋【太陽編】

 今日は朝から燐の様子がおかしかった。


 朝からため息が多く俺の顔を見てくれない…朝の通学では話を切られてしまった。


 俺は何かしたんだろうか?燐は俺の顔をちらっと見ると切なそうで悲しい表情をしていた。


 話しかけようにも朝の通学からさけられている…どうにか話そうとするがダメみたいだ。


 キーンコーンカーンコン…授業のチャイムがなり1限の先生が入ってきた。


 何とかしないと考えていたら…あっという間に授業の時間になっていた。


『それでは授業を始めます!今日はグループワークを行うので前に貼ってあるグループにわかれて座ってください~』


 グループを確認すると…燐と一緒だった!!グループは3人でもう1人はクラスのお調子者物がいたが燐と一緒だったから俺は気にしなかった。


 燐の様子を見ると驚いていた…まぁ、今まで一緒にグループになったことはなかったから驚いているんだろう?それ以外にも何かあるんだろうか?燐は暗い顔をしていた。


『グループになったら司会進行、書記、発表とそれぞれ役割を決めてくださいね~』


 朝から気まずい雰囲気の重たい空気を飛ばしたのはクラスのお調子者である佐藤だった。


『はーい!俺が発表やるよ~♪それで司会進行は太陽で書記は字が綺麗な燐でいいよな?』


『俺は書記で別にいいよ』


 シャーペンと紙を持って発表しやすいよう紙に内容をまとめてくれるみたいだ。


『あぁそうだな…』


 俺はとにかく燐と話したいから議題に対してどんどん司会進行をした!!しかし、燐は話し合いに全然参加してくれなかった。


 燐にこの議題に対して意見はどうだと聞いても…俺の方は向かずに佐藤の顔を見て話をしていた。


 俺はつい佐藤の顔を睨んでしまった…あいつが悪いわけではないが燐が俺だけを無視?するのが許せなかったのだ。


 佐藤はぶるりと震えた。


『殺気をかんじたような?気のせいかな…』


 危ない…つい殺気をだしてしまった!ちらりと燐を見ると内容をまとめているのか下をずっと見ていた。


 なんで?俺が何かをしたのか?さっぱり俺には訳がわからなかった。


 ほとんど俺と佐藤が話して無理矢理…発表までこぎつけたに近かったがなんとか内容はまとめられた。


 燐の事を考えていたら…気づけば発表も終わり授業も終った。


『それでは授業を終わりにしますね~』


『気をつけ礼』


『ありがとうございました』


 授業が終わると燐はそそくさとクラスメイトに何かを話して教室から出ていった。


 次の時間は体育だから着替えに行くはずなんだが俺はおいてかれた!!いつもは一緒に着替えに行っていたのに…。


 すると、さっき燐と話をしていたクラスメイトが話しかけてきた。


『おーい!燐から伝言で用事があるから先に着替えてるだってさ』


『そうか…』


『なんだケンカでもしたのか?仲直りしろよ』


 クラスメイトはポンポンと肩を叩いて行った。


 俺は燐が着替えているだろう…ロッカーに走って向かった。


 ロッカー室に入ろうと扉に手をかけると燐のため息が聞こえた。


『はぁ…』


 俺は音を立てないようにロッカー室に入ると入り口の壁に寄りかかって燐の様子を見学していた。


『はぁ…どうしたらいいんだよ!?』


 燐がロッカーを叩きながら呟いた…ロッカーを叩いた手は少し赤くなっていた。


 俺はつい話しかけてしまった。


『何がどうしたらいいんだ?』


 燐は驚いていた…なんで?ここにいるのかと顔に心の声が出ていた。


 そのまま顔を会わせないように燐は部屋から出ていこうとした。


『別に何でない…そこをどけ!!』


 出入り口にいる俺なんて知るかと通りすぎようとしていた。


 俺は無視されたことにカッとなってしまった。


『何もないわけないだろ!!


 俺は燐が逃げないように腕で囲いこんだ…女子の憧れているシチュエーションの壁ドンってやつだ。


『何かあるなら俺の顔をみてから言えよ』


 俺の顔を見て理由を言ってくれと俺は問いただした。


『別に…』


 燐は何か言おうとするが下を向いたままで何も話そうとしない…本当に何があったんだ。


 急に燐は声を出さずに涙を流し始めた。


『えっ??泣くな燐』


 俺はおろおろとしてとりあえずポケットからハンカチを出して燐の涙を拭いた。


『本当にどうしたんだ?』


 今度は燐を泣かせないように柔らかな声を意識して話しかけた。


 燐からまさか…告白を聞けるなんて思いもしなかった。


『実は俺さ…』


『お前の事が好きなんだ』


 燐は何かを決意した様子で告白をしてきた。


 俺は嬉しすぎてどうしようもなかった…人生の中で今日が1番良い日なんだ思った。


 燐に恋して…たくさんの事が今までにあった。


 振り替えると長い時間だった…幼稚園の時に結婚の約束をして中学でケンカをした。


 あの時の言葉を今でも忘れられないでいる。


『俺は太陽なんて好きじゃない!!!ただ幼馴染みだから仕方なく関わってるだけで別に嫌いだ』


 あの時、俺は気づいたんだ…俺だけが燐を好きで俺が燐を縛りつけているんじゃないか??とだから俺は中学の最後に燐と距離をおいたんだ。


 でも…俺はあきらめられなかった!だから俺は燐と同じ学校に進学したんだ。


 そして、燐と仲直りして楽しい学校生活を送ろうとした!!けど…燐はここでも色んな人からモテるし可愛がられていた。


 俺の気持ちはドンドン純粋な気持ちから嫉妬へと変わっていった。


 まさか燐が俺の事が好きだなんて!!もう俺は気持ちを我慢しなくていいのか?好きだと伝えてもいいんだ。

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